共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

鶏肉品質を支配する要因の解明と品質の斉一性向上への取り組み

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
21K14958
体系的課題番号
JP21K14958
配分額
(総額)
4,550,000円
(直接経費)
3,500,000円
(間接経費)
1,050,000円

食品には品質の安定性が求められるが、畜産物の品質、美味しさ(食味性)のばらつきについての研究は十分ではない。本研究では、家畜の生産現場において生じる成長速度の差が、食肉品質のばらつきを生じさせる原因となり得るかを調べ、その作用機序の解明および食肉品質のばらつきの改善を試みる。
本年度は成長速度の異なる肉用鶏のむね肉における理化学特性(成分組成、色調、物理的特性、呈味成分)を調べた。肉用鶏ヒナを初期成長期(孵化後1-5日齢)の増体量により、成長の速い群(急速発育区)と遅い群(遅発育区)の2群に分けた。各区から無作為に6羽を選抜し、自由飲水、自由摂食下で飼育し、7週齢時にと鳥した。むね肉を採取し、重量を測定後、4℃で48時間熟成させた。むね肉中の水分、たんぱく質、脂質含量を測定した。加えて、色調、ドリップロス、クッキングロス、せん断力価、 および遊離アミノ酸含量を測定した。
1日齢の体重は急速発育区と遅発育区で差は認められなかった。一方、と鳥時の終体重は遅発育区と比較して急速発育区が有意に重くなった。また、むね肉重量も遅発育区と比較して急速発育区で有意に重くなった。成長速度が異なる肉用鶏のむね肉中の水分含量、たんぱく質および脂質含量に差は認められなかった。また、色調、ドリップロス、クッキングロスおよびせん断力価においても急速発育区と遅発育区との間で有意な差は認められなかった。一方、むね肉中の遊離アミノ酸含量は急速発育区と比較して、遅発育区でグルタミン酸が有意に高く、加えてチロシン、フェニルアラニンが高い傾向(P < 0.1)を示した。以上の結果より、肉用鶏における成長速度の差は、むね肉中の成分組成、色調および物理的特性に影響を与えないことが示唆された。一方で、成長速度の差は特にむね肉中のうま味を呈するグルタミン酸量に影響を与えたことから、呈味特性に影響を与える可能性が示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K14958
ID情報
  • 課題番号 : 21K14958
  • 体系的課題番号 : JP21K14958