2020年4月 - 2024年3月
次世代半導体コンプトンカメラで革新するMeVガンマ線宇宙・素粒子・原子物理学
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
大型のCMOS-Si ハイブリッド素子と2mm厚のCdTe両面ストリップ検出器を組み合わせたコンプトンカメラをシステムとして完成させた。点線源を用いた実験を行い、データを取得した。電子の飛跡の定量化に重点をおいた解析を進め、宇宙線トラックの取得を行った。解析的な手法のほか機械学習を用いた解析を進めた。膨大なデータをリアルタイムで扱うためにFPGAの開発をモジュール化の手法を用いながらすすめた。将来のMeVガンマ線観測を実施するために、 カリフォルニア大学バークレー校のSSL (Space Science Lab.)が中心になって進めているCOSIチームに入り、Concept Study Reportの作成に参加した。超小型衛星などでの次世代コンプトンカメラ実証をめざして、モジュール化したCdTeあるいはSiセンサーの開発を進めた。多価重イオンのエネルギー準位や相互作用にあらわれる量子電磁力学効果の検証のため、Si/CdTeコンプトンカメラを用いて行った実験データの解析を行った。理論研究において、松本は軽い熱的暗黒物質の間接検出においても重要な役割を果たすと期待されている矮小楕円体銀河について、新しい手法(Mixture model)を用いて実際の観測データ(Draco, Sculptor, Ursa Minor)を解析し、各々の銀河における暗黒物質分布を推定し、いわゆるJ因子を統計的に正しい手法を用いて評価した。Tom Meliaは、ローレンツ対称性の特定な破れ方に基づき、結晶内におけるギャップを持つ振動相互作用を記述する有効場理論の研究を行った。本有効作用は、MeVスケール暗黒物質の散乱による結晶内の集団運動励起、つまり軽い暗黒物質の直接探査の計算に用いられる。これらの研究により、どのような物質(結晶)が高感度の暗黒物質探査実験を実現し得るかについての知見が得られた。
- ID情報
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- 課題番号 : 20H00153
- 体系的番号 : JP20H00153