基本情報

所属
京都大学大学院人間・環境学研究科 共生文明学専攻博士後期課程
学位
修士(人間・環境学)(2020年3月 京都大学)

J-GLOBAL ID
202001012451555086

 プルードンのテクストを解釈しています。これまでプルードンは、「アナーキズムの始祖」として、あるいは「マルクスの生涯の論敵」として関心を集めてきました。確かにどちらも興味深いところですが、私は「まずはあの読みづらいテクストをちゃんと読もう!」と、どこに出すわけでもない翻訳作業を続けています。

 目下進めている研究(あるいは現在の関心)は、相互に関連するものの、大きく分けて以下の4つと言えます。
 ①プルードンの初期著作における、必要(besoin)概念と生存権(droit de vivre)概念の内実とその正当化の理路
 ②プルードン的生存権概念とフランス革命期に提出された生存権的概念(droit d'existence あるいはdroit de subsistence)の異同と継承関係、およびそこから読み取れるプルードンの啓蒙主義認識
 ③日仏の生存権思想史におけるアナーキズム(森戸辰男=クロポトキン)思想の位置づけ、およびプルードン思想との比較
 ④アンチ・ファシズム理論としてのプルードン解釈の探究

 プルードン思想は、先行する啓蒙主義の諸思想家から極めて強く影響を受けており、したがってこの継承関係を明らかにしなければ正確に読解することができません(にもかかわらずこの手の研究は手薄です)。そこでまずは初期思想を取り扱うべきだと考え、『日曜祝祭論』(1839年)と格闘してきました。その結果、この著作はロベスピエールの生存権論を半分継承しながら半分徹底的に批判しているのだということが見えてきました(①②について)。

 この結果を踏まえて、今後私はプルードン思想を生存権思想として読み解こうと考えています。しかしながらこの様な野望を持つ私にとって、戦間期のフランスでファシズムを推し進めた団体が自らセルクル・プルードンと名乗り、プルードンの著作からファシズム理論を作り上げていたことは大問題です。
 とはいえファシズムの源流と目される思想はプルードンのそれだけではなく、ルソー=ジャコバン主義であったとする見方も強いですし説得力があります(タルモン等の議論です)。このような理論史的状況も踏まえ、プルードン思想とフランス革命との関係を相対化(②)し、プルードンをむしろアンチ・ファシズムの思想として捉えられないかと模索しています(④)。
 また、先のようなファシズムとの癒着関係がある一方で、日本国憲法第25条の立役者の一人である森戸辰男がクロポトキン研究者であったことから考えても、アナーキズムの根源的発想には、様々な形での生存権思想がありえます。生存権とアナーキズム思想の関係をめぐる、この錯綜した議論状況を改めて検討すべく、森戸辰男=クロポトキン的生存権観を整理し、プルードンの生存権思想と比較させることで、プルードン思想の位置づけを問い直したいと考えています(③)。 


講演・口頭発表等

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