論文

査読有り
2020年

山岳湖沼における結氷現象と気候変動との関係

陸水物理学会誌
  • 知北 和久
  • ,
  • 大八木 英夫
  • ,
  • 牧野 昌
  • ,
  • 漢那 直也
  • ,
  • 刀根 賢太
  • ,
  • 坂元 秀行
  • ,
  • 波多 俊太郎
  • ,
  • 安藤 卓人
  • ,
  • 白井 裕子

2
1
開始ページ
3
終了ページ
13
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(学術雑誌)
DOI
10.34502/physhydro.2.1_3
出版者・発行元
陸水物理学会

北海道の火山性カルデラ湖である俱多楽湖(くったらこ)において,2013年~2016年間に計4回の冬季結氷状態を調べ,気候条件との関係を探った。俱多楽湖は毎年,12月下旬に湖水の全層循環が起こり,その後1月~3月に気象条件に応じた結氷現象が生じる。観測期間中,2015年は暖冬で凍結せず,2013年,2014年,2016年の冬は全面結氷期間がそれぞれ83日,52日,33日と2016年冬が比較的暖かかった。俱多楽湖では,1978~2019年における1~3月平均気温の上昇率は0.0280 ℃/年(信頼度水準97.0 %)と見積もられ,この上昇率に基づく湖氷の成長・融解への影響が検討された。ここでは,全面結氷後の雪・氷・水の三層における熱収支を考慮した1次元モデルを適用し,湖氷の厚さの時間変化を再現した。計算された氷厚は2013年と2014年で観測された氷厚とほぼ一致し,熱収支評価が正しいことが裏付けられた。氷厚に対する数値実験の感度を調べるため,10年後に気温が一様に0.28 ℃上昇するとした場合の氷厚計算を行った。解析の結果,2013年, 2014年, 2016年で平均氷厚がそれぞれ,9.1 %, 57.0 %, 83.3 %減少し,暖冬ほど薄氷化が強いことがわかった。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.34502/physhydro.2.1_3
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130007853723
ID情報
  • DOI : 10.34502/physhydro.2.1_3
  • CiNii Articles ID : 130007853723

エクスポート
BibTeX RIS