共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

遺伝性脳小血管病変異TREX1の細胞内局在異常による毒性機能獲得メカニズムの解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K07522
体系的課題番号
JP18K07522
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

RVCLは、脳・網膜の小血管を主に侵す優性遺伝性の脳小血管病であり、最終的には死に至る疾患であり治療法はない。本症の原因遺伝子はエキソヌクレアーゼの一つであるTREX1である。TREX1はRVCLの他にAGS、FCLの原因遺伝子、さらにSLEの感受性遺伝子としても知られている。AGS・SLE・FCLは自己免疫が関与する類縁疾患であるが、RVCLはこれらの疾患とは異なる病態を呈する。何故同一の遺伝子内の変異により、異なるスペクトラムのRVCLが発症するのかは分かっていない。申請者はRVCL変異TREX1特異的にDNA損傷応答シグナルが亢進することを見出しており、これがRVCL特異的な病態メカニズムに関与すると仮説を立て研究をスタートした。
本年度は、次の点を明らかとした。①RVCL変異TREX1は、複数あるDNA損傷形式の中でも最も悪性度の高い2本差DNA損傷を引き起こす。②RVCL変異TREX1の発現は不死化細胞では細胞死を誘発するが、正常細胞では不可逆的な増殖停止を誘導する。RVCL変異TREX1の発現は内在性野生型TREX1タンパク質の発現を低下させるが、局在は変化させないこと。④RVCL変異TREX1のDNA損傷には核局在と、エキソヌクレアーゼが必要であること。また、これらの新規に知見に加えて、申請者はRVCLモデル生物としてゲノム編集を用いて内在性Trex1遺伝子にRVCL類似のフレームシフト変異を導入したモデルマウスとRVCL変異TREX1過剰発現ハエモデルを作製した。
次年度以降は正常細胞安定発現細胞株を用いて、RVCL変異TREX1が細胞老化・SASPといった老化・炎症に関わる細胞機能変化を誘導するか、生体内においても同様のDNA損傷、細胞老化・SASPを誘導するかに関して集中的に研究を推進していく予定である。本研究は非常に順調にマイルストンを達成している。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K07522
ID情報
  • 課題番号 : 18K07522
  • 体系的課題番号 : JP18K07522