共同研究・競争的資金等の研究課題

2003年 - 2005年

膜型レクチン分子による免疫細胞機能制御についての研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(B)

課題番号
15390158
体系的課題番号
JP15390158
配分額
(総額)
15,100,000円
(直接経費)
15,100,000円
(間接経費)
0円
資金種別
競争的資金

CD22はシグレックファミリーの1つでα2,6シアル酸に特異的に結合する。また、CD72はC型レクチン様ドメインを持つ膜分子である。これらの膜型レクチン分子は、細胞内領域に抑制性チロシンモチーフ(Immunoreceptor tyrosine-based inhibition motif:ITIM)があり、リン酸化したITIMがチロシンフォスファターゼSHP-1と会合し、SHP-1を活性化することにより、抗原受容体(BCR)を介するシグナル伝達を負に制御する。我々はCD22によるシグナル制御が、BCRを構成する免疫グロブリン(Ig)のクラスによって異なることを明らかにした。CD22はIgM-BCR、IgD-BCRおよびIgA-BCRを介するシグナル伝達を負に制御するが、IgG-BCRおよびIgE-BCRを介するシグナルを制御しない。CD22によるシグナル抑制を受けないためにIgG-BCRおよびIgE-BCRを介するシグナル伝達は他のクラスに比べ亢進している。このような亢進したシグナル伝達は記憶免疫応答の際の迅速な抗体応答に関与すると考えられた。さらに、CD22によるシグナル制御の解除には、膜型IgGおよびIgEの細胞内領域が重要であることを明らかにした。一方、CD72はBCRクラスに関わらずシグナルを制御した。また、SHP-1にはリン酸化チロシンと会合するSH2ドメインが2つあり、CD22の細胞内には3つのITIMが存在するが、そのうち最低2つがシグナル制御に必要であることが示唆されていた。しかし、我々は、ITIMが1つあれば十分であることを明らかにし、さらに、チロシン783(Y783)が、他のチロシンのリン酸化にとって重要な役割を果たすことを明らかにした。これらの知見は、膜型レクチン分子の機能の解明と、これらの分子を標的にしたB細胞機能制御法の開発に重要である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-15390158
ID情報
  • 課題番号 : 15390158
  • 体系的課題番号 : JP15390158