2018年4月 - 2021年3月
テーラーメイドニューロリハビリテーション実現に向けた多感覚刺激治療装置の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本年度は,これまで取り組んできたニューロリハビリテーションデバイスの開発研究(基盤C:15K01439)で完成したプロトタイプデバイスを用いて,介入研究を実施した。本デバイスのシステム(iNems)(特開2017-102504)は,脳血管障害後の感覚運動障害患者や慢性的な感覚異常により身体実在感を創出した患者に対して,自らの能動的な脳内運動感覚指令を起点に視覚的・深部感覚刺激による受動的な代償的運動応答を誘起できるものである。センシングシグナルには脳波成分の出現パターンを利用している。本システムを用いて,共同研究施設である愛知県の病院施設にて延髄梗塞後にしびれと身体性低下を認める患者2名に対して介入を行った。6週間にわたる治療介入の結果,しびれに対する破局的思考が改善し,麻痺側上肢の使用頻度および動作の質が向上した。さらに安静時および運動イメージ時の脳波活動にも改善を示す変化を認めた。以上より,しびれに対するiNemsトレーニングが行動学的および神経生理学的な変化を引き起こすことを明らかにした。本結果を踏まえ,対象者数および対象症状の拡大拡充を目指し,現在も研究を継続中である。
- ID情報
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- 課題番号 : 18K10798
- 体系的課題番号 : JP18K10798