2012年4月
接続詞のいま・むかし
日本研究論集
- 巻
- 号
- 5
- 開始ページ
- 1
- 終了ページ
- 14
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
現代日本語の「なので」という接続詞は、口頭語では正用と認められるが、文章語では誤用とされてしまう。文章語は、口頭語よりも古い時代の言語を反映し、「なので」は最近成立した新しい接続詞だからである。ところで日本語の接続詞の語構成は、それがどのような形態素から構成されているか、という観点から、大きく三つに分類される。この分類は、あくまで語構成の面から行ったものであるが、結果的には、接続詞が意味の上で持っている前文と後文との両方に関係する性質を反映したものともなっている。「なので」はそのうちでも最も文法的な変化によって作られる群に分類される。そうすると「なので」は、現在文章語としては誤用と判断されているが、将来的には、正用の接続詞と認定されることになるのではないかと考えられる。ただし、接続詞において意味の上で前の文を代表する部分は、活用形としては終止形を用いる傾向が強い。そうすると「なので」も、やがて「だので」という語形に変化して行く可能性がある。
- ID情報
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- ISSN : 1906-8891