本報告の目的は、IFRSに基づいた財務情報の価値関連性が、日本基準に基づいた財務情報の価値関連性よりも高いものになっているか否かを解明することにある。Barth et al.(2008)による分析モデルに依拠した上で、平均絶対誤差(MAE)の大小比較により、研究目的の達成を試みた。さらに、分析に際しては、①IFRS適用企業と日本基準適用企業、②IFRS適用企業のIFRS適用前とIFRS適用後、③IFRS適用割合の高い医薬品業と輸送用機器業に焦点を当て、その業種におけるIFRS適用企業と日本基準適用企業という3つの比較を行った。検証の結果、IFRSを適用することで、財務情報の価値関連性が高まるという結果は，必ずしも得られなかった。