論文

2020年3月

「のれんの非償却は財務情報の価値関連性を向上させるか?―IFRS適用企業と日本基準適用企業の比較―」

『商学研究』(愛知学院大学)
  • 野口倫央

60
2-3
開始ページ
1
終了ページ
13
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(大学,研究機関等紀要)

現在、IFRSを適用する日本企業が増加している。日本基準は、IFRSとのコンバージェンスを進展させ、多くの部分でIFRSと同等なものとなっているが、大きく相違する処理要求がある。それがのれんの会計処理である。IFRSはのれんの非償却を要求しているのに対して、日本基準は規則的償却を要求している。
この相違点は、日本におけるIFRSへの対応を議論する際、中心となるものであり、財務情報および資本市場への影響が大きいと予測される重要論点である。本研究では、このような状況を踏まえ、IFRSが要求するのれんの非償却が、日本が要求する規則的償却と比して、財務情報の価値関連性の向上に資するか否かを、実証分析により解明することを目的として検証を行った。
検証の結果、のれんの計上額が大きくなるにつれて、IFRSが要求するのれんの非償却は、日本基準が要求するのれんの規則的償却に比し、財務情報の価値関連性を低下させるものであることが明らかになった。この知見は、IFRS導入に関する議論に際して、重要な証拠となり得るものである。

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