共同研究・競争的資金等の研究課題

2003年 - 2005年

微小重カストレスによる骨カルシウム代謝障害と代謝改善機能性食品の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
03J52891
体系的課題番号
JP03J52891
配分額
(総額)
2,600,000円
(直接経費)
2,600,000円

安静臥床や神経麻痺などの微小重力ストレス状態では、全身性の廃用性骨萎縮を来し身体機能のみならず精神・神経機能の低下を招き廃用性症候群を発症させる。一方、近年ヒトやラットにおける野菜摂取と骨密度の相関が報告され野菜の新たな機能として期待されている。野菜の中でも特にオニオンの摂取は骨吸収を抑制して骨量増加に寄与すると考えられている。そこで、オニオン摂取による骨量減少の抑制および腸管カルシウム吸収低下の抑制を検討した。まず、微小重力ストレスモデル動物に、オニオン乾燥粉末を配合したAIN-93G改変試料をPair-fedで投与しところ、微小重力ストレスによる骨量減少を有意に抑制した。さらに、出納法にて腸管カルシウム吸収量および吸収率を評価したところ、ともに吸収減少を軽減した。しかし、腸管上皮細胞での主要なカルシウム吸収関連因子であるTRPV6及びcalbindin-D9kの遺伝子発現に、オニオン摂取が影響を及ぼすことはなかった。これまでに骨および腸管カルシウム吸収にはエストロゲンが重要な因子とされており、本研究においてもその可能性がある為、エストロゲン作用様の効果であるか否かを検討した。Mammalian One-Hybrid AssayおよびTwo-Hybrid Assayにてプロモーター上に存在するDNA非結合性転写因子への影響を評価したところ、オニオン含有成分であるケルセチンは、エストロゲン受容体(ERα、β)を介した転写活性には、何ら影響を及ぼさなかった。また、Luciferase AssayでもTRPV6プロモーターへの影響はなかった。以上、本研究は、オニオンによる腸管カルシウム吸収促進効果及び骨量減少抑制効果がERを介したエストロゲン作用以外の新たな生体機能を有している可能を示唆するものであり、オニオンは微小重力ストレスに対する新規機能性食品であることを明らかにした。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-03J52891
ID情報
  • 課題番号 : 03J52891
  • 体系的課題番号 : JP03J52891