共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

長尺工作物の円筒トラバース研削における振れ止めの使用方法の最適化に関する研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K04194
体系的課題番号
JP20K04194
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

本研究では長尺工作物の円筒トラバース研削を対象に、次の3点を研究目標としている。a) 最適な振れ止めの設置位置と個数および研削条件の決定手法の確立、b) 振れ止めを押し込んでいる点で生じる工作物の段差を解消する手法の確立、c) 微小なテーパ形状の付与
研究初年度の2020年度はa)およびb)の研究目標に関する基礎的な成果が得られたため、2021年度は、a)とb)を統合し、最適な研削条件において研削実験を実施した。また、c)の微小なテーパ形状の付与について基礎的な実験を実施した。
まず、a)とb)を統合した研究成果について報告する。前年度に確立された、工作物へ振れ止め(工作物の表面を押すことで研削中の弾性変形を抑える装置)を作用させた際の弾性変形量の解析から最適な振れ止めの設置位置を決定するとともに、弾性変形が工作物の形状精度へ極力影響を与えないトラバース速度(工作物を軸方向に移動させる速度)を求め、研削実験を行った。その結果、一定のトラバース速度で、振れ止めを使用せずに研削した場合2μm程度の形状誤差(工作物の半径の差異)が生じたのに対し、提案法では形状誤差を0.5μm程度に抑制できた。これまで、振れ止めの使用方法や研削条件の設定は熟練技能者の勘と経験に依存してきたが、提案法を用いることで熟練した技能を持たない作業者(学生)でも高精度な研削に成功した。
また、c)の微小なテーパ形状の付与については、工作物軸方向位置における弾性変形が、目標のテーパ形状と同等に変化するトラバース速度を決定し、研削実験を行った。この手法の特徴は、工作物自体の弾性変形を積極的に活用することで、工作物の軸方向位置における砥石の切込み量を変化させ、工作機械の運動では実現しにくい精密な形状の制御を行う点である。事前に求めたトラバース速度で研削実験を行い、目標形状のテーパを工作物へ付与することに成功した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K04194
ID情報
  • 課題番号 : 20K04194
  • 体系的課題番号 : JP20K04194