共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

カーボン表面のメディエータ高密度固定によるバイオ燃料電池高電流密度化へ向けた研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K04822
体系的課題番号
JP18K04822
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

バイオ燃料電池は、触媒として酵素を用いることで、グルコースなどの生体に安全・安心な燃料が利用できるため、医療用補助具や携帯機器のポータブル電源として開発が期待されている。本研究では、バイオ燃料電池の電極表面構造について検討を行い、酵素が有する高い反応速度を活用して高電流密度化を実現する。従来の酵素電極における主要課題として、酵素-電極間で電子授受を行うメディエータを電極表面に高密度かつ安定に固定化できないことが挙げられる。
昨年度の研究では、カーボン表面に強く吸着するアントラセン二量体とメディエータの複合化により、高密度かつ安定なメディエータの固定が可能であることを示した。本年度は、アントラセン二量体を用いたカーボン表面への酵素の固定化について検討を行った。酵素はカーボン表面への物理吸着により変性・失活し、低電流密度の要因の一つとなっていた。はじめに、アントラセン二量体と親水ユニットの複合体を合成し、酵素の物理吸着の抑制を図った。カーボンブラック(CB)へ酵素Glucose oxidase (GOx)の吸着試験を行った結果、未修飾CBと比較して親水ユニット複合化アントラセン二量体により修飾したCBでは酵素吸着が抑制された。続いて、親水ユニットへ酵素を化学的に固定化する酵素固定ユニットを導入した。酵素吸着試験の結果、酵素吸着量は酵素固定ユニット導入前と比較して約3倍に増加した。また、CBへ吸着した酵素の比活性[U/mg_GOx]は、酵素固定ユニット修飾CBで未修飾CBの約4倍に増加した。CBあたりの酵素吸着量と吸着酵素の比活性の積であるCB重量あたりの吸着酵素活性値[U/mg_CB]は、酵素固定ユニット修飾CBで未修飾CBの約2倍となった。以上より、アントラセン二量体を用いることで、酵素の活性状態を維持したままCB表面へ高密度固定する手法を確立した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K04822
ID情報
  • 課題番号 : 18K04822
  • 体系的課題番号 : JP18K04822