共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

セグメント重水素化中性子散乱法による天然変性タンパク質の動的構造解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
18H02391
配分額
(総額)
17,680,000円
(直接経費)
13,600,000円
(間接経費)
4,080,000円

本研究ではセグメント重水素化と逆転コントラスト同調法を用いた中性子小角散乱法により天然変性領域をもつマルチドメインタンパク質の動的構造を解析し天然変性タンパク質の高度な分子認識・機能発現機構の解明を目指す。
当該年度は、(1)セグメント重水素化のためのプロテインライゲーション条件の検討、(2)X線溶液散乱法による中性子溶液散乱実験に向けた予備的解析、(3)マルチドメインタンパク質の動的構造を再現する構造アンサンブルの作成を行った。目的とするマルチドメインタンパク質はN末端とC末端にそれぞれ折れ畳まれた機能ドメインを持ち、その間に大な天然変性領域が存在する。(1)ではまず天然変性領域とC末端ドメインのプロテインライゲーションによる連結が可能であることを確認した。同様の反応でN末端ドメインを連結すれば全長タンパク質を調製できるため、セグメント重水素化タンパク質調製の道筋を示すことができた。(2)ではセグメント重水素化した全長タンパク質を用いた中性子散乱実験に先立って、X線溶液散乱法で重水素化していない全長タンパク質を用いて溶液中での動態を確認した。その結果、全長タンパク質は低濃度であれば中性子溶液散乱実験に使用可能な均一な溶液状態(単分散状態)であることがわかった。 また、(2)では実測のX線溶液散乱データが得られているため、中性子溶液散乱実験に先立ち、(3)で得られた構造アンサンブルから理論的なX線溶液散乱パターンを計算し、実測のX線溶液散乱パターンと比較した。その結果、溶液中で天然変性領域がとりうる多様な構造を再現するためには構造アンサンブルの数が不十分であることが示され、次年度への課題として構造アンサンブルの作成法の検討も予定している。

ID情報
  • 課題番号 : 18H02391