論文

2019年4月

若年(AYA)がんと妊娠 妊娠とがん(悪性腫瘍合併妊娠の全国調査2014)

日本女性医学学会雑誌
  • 近藤 英司
  • ,
  • 田畑 務
  • ,
  • 小林 良幸
  • ,
  • 関根 正幸
  • ,
  • 榎本 隆之
  • ,
  • 池田 智明

26
2
開始ページ
217
終了ページ
222
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(一社)日本女性医学学会

本邦における悪性腫瘍合併妊娠は、妊娠年齢の高齢化と若年者の悪性腫瘍罹患率の上昇に伴い増加している。海外からの報告では1,000〜1,500妊婦に1人の割合でがんが罹患しているといわれており、乳がん、子宮頸がん、悪性リンパ腫、卵巣がん、白血病、消化管がん、悪性黒色腫、甲状腺がんの順とされている。de Haan J et al.(2018)。我々は2014年1月〜12月に、2008年からさらに本邦において妊娠年齢の高齢化と若年者の悪性腫瘍罹患率の上昇に伴い、悪性腫瘍合併妊娠(妊娠中〜産褥1年以内に診断もしくは治療された悪性腫瘍(上皮内癌を除く)が増加しているかの調査を再度施行した。本邦の周産期母子医療センターおよびがん診療拠点病院510施設のうち411施設から回答(回答率81%)を得て、124施設で悪性腫瘍合併妊娠があり、調査期間の総分娩数は207,750例、対象症例は189例(0.1%)であった。すなわち本邦でも1,000妊婦に1人の割合であり、海外の報告と同等であった。二次調査として、157例の解析可能なデータを集積し解析を行った。平均年齢は33歳、子宮頸がん(36%)、乳がん(24%)、卵巣がん(15%)、悪性リンパ腫(5.7%)、白血病(4.5%)、甲状腺がん(3.8%)、大腸がん(3.2%)、胃がん(2%)の順であった。一般的にどのがん腫においても妊娠時と非妊娠時の予後・生存率は同等とされている。今回の調査は海外の報告と同様に、悪性腫瘍合併妊娠の死亡例のほとんどは非婦人科腫瘍の進行症例であった。(1)妊娠初期の悪阻、下腹痛、体重減少と進行悪性腫瘍の自覚症状である嘔気、腹痛、体重減少等が類似していること(2)妊娠のために画像診断が避けられることから診断が遅れること(3)産婦人科医が非婦人科腫瘍の診断に習熟していないことが非婦人科腫瘍の診断が遅れ進行してから発見される症例がある理由の可能性が示唆された。(著者抄録)

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ID情報
  • ISSN : 2185-8861
  • 医中誌Web ID : 2019235796

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