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2017年6月

ワルファリンとエゼチミブの薬物相互作用メカニズムの解明 Niemann-Pick C1 like 1によるビタミンKの消化管吸収

日本血栓止血学会誌
  • 山梨 義英
  • ,
  • 高田 龍平
  • ,
  • 鈴木 洋史

28
3
開始ページ
345
終了ページ
352
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.2491/jjsth.28.345
出版者・発行元
(一社)日本血栓止血学会

血液凝固の活性化作用を有するビタミンKは,私たちの体内では作ることができないため,主に食物から摂取している.しかし,その消化管からの吸収メカニズムについては未解明であった.われわれは,消化管に発現しているコレステロール吸収トランスポーターNiemann-Pick C1 like 1(NPC1L1)の機能解析を進める中で,NPC1L1がコレステロールのみならず,ビタミンKの消化管吸収も担うことを世界で初めて見出した.脂質異常症治療薬として使用されているNPC1L1阻害剤のエゼチミブは,抗血液凝固薬のワルファリンと併用されると,ワルファリンの作用増強をもたらすことが報告されている.この機序は不明であったが,今回の発見をもとに検討を行ったところ,エゼチミブによるビタミンKの吸収阻害に起因した,誰にでも生じうる薬物相互作用であることが明らかとなった.これらの知見は,ビタミンKの吸収メカニズムのさらなる解明や,ビタミンKの吸収変動を考慮した適切な薬物治療に貢献するものと期待される.(著者抄録)

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.2491/jjsth.28.345
ID情報
  • DOI : 10.2491/jjsth.28.345
  • ISSN : 0915-7441
  • 医中誌Web ID : 2017340661

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