2021年7月
"Mangrove Ecosystem Restoration" ed. by S. Sharma
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- 担当区分
- 分担執筆
- 担当範囲
- Environmental trials for mangrove ecosystem rehabilitation in south China
- 出版者・発行元
- IntechOpen access: https://www.intechopen.com/chapters/74592
- 記述言語
- 著書種別
- 学術書
- DOI
- 10.5772/intechopen.95339
- ISBN
中国の南部の海岸には、見事なマングローブ林が広がっている。中国綜合テレビでも、時々、保全を呼びかける番組が流れる。中国のハワイと称される海南島(三亚=三亜湾周辺)の海岸には豊かなマングローブ林がみられ、観光資源としての期待も高い。しかし、一方で、急速な経済成長を遂げる中国では、農地への転用だけでなく、南部全域に広がるマングローブ林の汚染も進んでおり、その対策が急がれている。特に中国の経済発展の象徴のような南部広東省の大都市・深圳市(香港の北)は、市樹として紅樹(=マングローブ)を選定し、保全を宣言し、その対策に取り組んでいる。この都市は、特別経済特区として近未来都市のモデルのような発展ぶりである。
1960年代半ばから実施されたIBP(国際生物学事業計画)の一環として、生産力の推定が行われ、保全の基礎になる話題として重要な内容が紹介された。また、周知のようにマングローブは熱帯から亜熱帯にかけて河口汽水域の塩性湿地に成立する「海に生育する森」を意味する。根を繁らせる部分の安定性と塩分濃度ならびに光利用特性などによって、帯状分布が見られることも植生の特徴である。また、インドネシアでの津波では内陸部を護ったことで、その環境保全機能に注目が集まった。最近では、温暖化によってマングローブ植物の分布拡大能力を超えて、海水面が上昇する危機も指摘され、耐塩性の研究も新たな視点で進められている。
マングローブを構成するさまざまな樹種について、民俗学的研究から気根の役割など生理学的研究も行われ、マングローブ植物学のテキストも改訂版が出版されている。しかし、当時から水質汚染もあったであろうが、重金属汚染に関するマングローブ林保全の視点が不十分であった。また、マングローブ林で生産される貝の類の重金属汚染も検討した。中国でのマングローブ会議での課題は、国家の進める戦略“一帯一路”の一環として、7つの項目(世界のマングローブ林の現状分析、“ブルー・カーボン(海の森の炭素貯留)”注2)の役割、生物多様性とその保護、湿地生態系の役割、湿地回復の生態工学と方法、マングローブ林の造成技術と管理方法、生態系総合科学知見集積の進展)が掲げられ、この項目に沿って発表が行われた。また、深圳市はマングローブ林を中心に公園の整備と博物館の充実も進めている。いわば、森林教育の重要性の一端をみた。
1960年代半ばから実施されたIBP(国際生物学事業計画)の一環として、生産力の推定が行われ、保全の基礎になる話題として重要な内容が紹介された。また、周知のようにマングローブは熱帯から亜熱帯にかけて河口汽水域の塩性湿地に成立する「海に生育する森」を意味する。根を繁らせる部分の安定性と塩分濃度ならびに光利用特性などによって、帯状分布が見られることも植生の特徴である。また、インドネシアでの津波では内陸部を護ったことで、その環境保全機能に注目が集まった。最近では、温暖化によってマングローブ植物の分布拡大能力を超えて、海水面が上昇する危機も指摘され、耐塩性の研究も新たな視点で進められている。
マングローブを構成するさまざまな樹種について、民俗学的研究から気根の役割など生理学的研究も行われ、マングローブ植物学のテキストも改訂版が出版されている。しかし、当時から水質汚染もあったであろうが、重金属汚染に関するマングローブ林保全の視点が不十分であった。また、マングローブ林で生産される貝の類の重金属汚染も検討した。中国でのマングローブ会議での課題は、国家の進める戦略“一帯一路”の一環として、7つの項目(世界のマングローブ林の現状分析、“ブルー・カーボン(海の森の炭素貯留)”注2)の役割、生物多様性とその保護、湿地生態系の役割、湿地回復の生態工学と方法、マングローブ林の造成技術と管理方法、生態系総合科学知見集積の進展)が掲げられ、この項目に沿って発表が行われた。また、深圳市はマングローブ林を中心に公園の整備と博物館の充実も進めている。いわば、森林教育の重要性の一端をみた。
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- ID情報
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- DOI : 10.5772/intechopen.95339