2010年 - 2012年
性ホルモンによる脳内神経回路の再構成が思春期に固有の社会行動を発現する機序の解明
文部科学省 科学研究費補助金(基盤研究(B)) 基盤研究(B)
- 課題番号
- 22390043
- 体系的課題番号
- JP22390043
- 担当区分
- 研究代表者
- 配分額
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- (総額)
- 18,590,000円
- (直接経費)
- 14,300,000円
- (間接経費)
- 4,290,000円
- 資金種別
- 競争的資金
平成23年度にはエストロゲン受容体(ER)α遺伝子の転写翻訳調節に関わる塩基配列を解析し、ラット、ヒト、マウスの何れにおいても5'上流側のプロモータ構造が従来知られていたよりもはるかに複雑で、それぞれのプロモータが組織特異的・時期特異的に使用されることを報告した。転写の際にalternative splicingによりさまざまなmRNAバリアントを生じ、これらが翻訳効率あるいはmRNAの安定性の調節に関わり、ERα分子の発現調節やC端、N端を欠くERα分子の断片の生成を示した。Calbindin D28kの免疫組織化学により、これまで存在しないとされてきたマウス内側視索前野にラットと相同の性的二型核(SDN-POA)を示し、教科書的記述を覆す成果を得た。ERα遺伝子0/Bプロモータトランスジェニック(tg)ラットにおいてSDN-POAのニューロンが特異的に標識されることを発見し、これまで信じられてきたアポトーシスではなく、細胞移動がこの核の性差の成立に関わることを報じた。SDN-POAの機能については、発情雌に対する性指向性を失ったオキシトシンノックアウト雄マウスにおいても、正常雄と同等の大きさを持つSDN-POAが存在することから、この核が雄の性指向性の調節に関わるという従来広く信じられてきた仮説を否定する所見を得ることができた。エストロゲン作用による細胞移動の結果、SDN-POAの性差を生じることは、分子生物学的手法によりエストロゲンが新生仔ラット脳で活性化される遺伝子カスケードを同定し、cofillinリン酸化の結果、アクチンのダイナミクスの変化によりfilopodia形成に変化が生じることから証明した。ラットでは在胎14日に嗅上皮から脳内に移動してくる性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)産生ニューロンは成熟後も新生仔期の性質を保ち、NKCC1の発現が多く、KCC2の発現を欠くために、細胞内塩素イオン濃度が高く、GAB飴受容体の活性化が興奮を起こすこと、この興奮が細胞移動を始動する可能性をパッチクランプ法で詳細に解析した。
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- ID情報
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- 課題番号 : 22390043
- 体系的課題番号 : JP22390043