2001年1月
JENDL3.2に基づく高速炉遮へい計算用ランプ化EP断面積の作成
JNC-TN9400 2001-033
- ,
- ,
- 開始ページ
- 45
- 終了ページ
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 機関テクニカルレポート,技術報告書,プレプリント等
従来のJASPER(日米共同高速炉遮へい実験)等の遮へい実験解析においてはFPの蓄積を考慮する必要がなかった。しかし、ある程度燃焼が進んだ炉心の遮へい解析では、FPの蓄積を考慮する必要があるが、既存の遮へい用断面積セットにはFPの断面積が作成されていないため、FPの効果を考慮することができなかった。そこで今回、これを作成し、FPが遮へい計算に与える影響を評価した。ORIGEN2による高速炉用MOX燃料の燃焼計算では約880核種のFPを取扱っているが、このうち、評価済核データライブラリJENDL-3.2には165のFP核種に関するデータが収録されている。これ以外のFP核種による中性子吸収への寄与は十分に小さいので、これら165核種からランプ化FP断面積を作成することとした。まず、JENDL-3.2をNJOY-94で処理して無限希釈断面積を作成した。エネルギー群は従来の遮へい計算用の断面積セットJSD-J2と同じ100群構造とし、高次非等方散乱はP3近似とした。次に、燃焼度10、40、63、90GWd/tについてORIGEN2で計算した235U、238U、239Pu及び241Puからの各FP核種の生成量を重みとして、ランプ化FP断面積を作成した。作成したランプ化FP断面積には燃焼度依存性はみられず、断面積カーブは核計算用の炉定数JFS-3-J3.2のランプ化FP断面積とよく一致した。FPが遮へい計算に与える影響を評価するために、作成したランプ化FP断面積をJSD-J2に追加し、「常陽」を対象としてDORTにより2次元RZ及びXY-R$\theta$体系で輸送計算を行った。その結果、炉内燃料貯蔵ラックに置かれた使用済燃料でFP考慮の有無による中性子束及び共鳴反応系の反応率の差は約7\%、それ以外の炉心領域及び炉心外の領域の中性子束、$\gamma$線束、反応率及び$\gamma$線発熱率の差は約2\%であった。これより、従来のFPを考慮していない場合では、中性子束は最大約2\%過大評価であるものの、計算結果は概ね妥当であることがわかった。