論文

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2021年3月

山形県遊佐町における耕作放棄地を活用した地域特産品の開発

熊本学園大学経済論集
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回数 : 553
  • 山口泰史
  • ,
  • 松山薫

27
1-4
開始ページ
197
終了ページ
216
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(大学,研究機関等紀要)

山形県遊佐町では、耕作放棄地でサツマイモを栽培し、それを芋焼酎に加工して販売している。本研究は、同町が芋焼酎を作るに至った経緯、及び、流通販売の仕組みについて考察するものである。
遊佐町農業委員会では、町内で増加する耕作放棄地に頭を悩ませていた。そこで、耕作放棄地でサツマイモを栽培して芋焼酎を作ることを考えた。一方、遊佐町の外部組織である遊佐ブランド推進協議会では、新たな地域特産品の開発を模索していた。そこで、2009 年度に「遊佐町特産焼酎プロジェクト」が発足した。
収穫されたサツマイモは、遊佐ブランド推進協議会の依頼を受けた秋田県醗酵工業株式会社が買い取り、芋焼酎を製造する。製造された焼酎は、山形県酒類卸株式会社が全量を一括仕入れする。そして、遊佐町内の小売店が個別に仕入れて販売を行っている。こうしたシステムの背景には、酒税法の厳しい規制がある。このシステムを維持するために、遊佐ブランド推進協議会、秋田県醗酵工業株式会社、山形県酒類卸株式会社の三者で契約が結ばれている。
事業利益は秋田県醗酵工業株式会社、山形県酒類卸株式会社、各小売店に分配され、遊佐ブランド推進協議会の利益はゼロである。しかし、協議会では芋焼酎を契機に、町のイメージアップや地域活性化が図られればよいと考えている。こうした取り組みは、耕作放棄地対策と6 次産業推進を同時に進行するモデルとして注目されよう。

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