共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

高圧下の鉄合金の特性とコアの軽元素組成の制約

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
21H04506
体系的課題番号
JP21H04506
配分額
(総額)
41,990,000円
(直接経費)
32,300,000円
(間接経費)
9,690,000円

結果的に1ヶ月半という期間となった本課題について、以下の7つの研究を進めた。1)SPring-8のビームラインBL43LXUにおけるX線非弾性散乱法を使った液体FeOの縦波速度測定に関し、過去の測定データの解析と6月のビームタイムに向けた実験準備を行った。また2)同じくSPring-8のビームラインBL10XUにおけるX線回折測定によって、超高圧高温まで 固体Feの格子体積を求め、状態方程式を決定するためのデータを解析した。さらに3)固体FeHの高圧高温下における体積データから高温の状態方程式を作成するとともに、4)Fe-FeH系の高圧高温実験を行って、状態図の作成を試みた。クライオ二次イオン質量分析法を使って、回収試料の三次元水素濃度マッピングを行い、水素の定量分析法の開発を進めた。5)Fe-Si系の実験も200万気圧までやり直し、共融点の化学組成の圧力変化を正確に見積もった。6)コア形成時の金属-シリケイト分配についても二次イオン質量分析法を使った定量を行い、水素(水)が系に含まれることにより、硫黄と炭素の分配係数が大きく変化する(メタルに分配されにくくなる)ことを見つけた。最後に、7)沈み込んでいく海洋プレート(スラブ)は水をコアーマントル境界まで輸送し、その高温環境下で脱水した水はコアの金属鉄と化学反応を起こして、鉄水酸化物などを作ると従来考えられていた。ところが今回二次イオン質量分析法を使って行った、含水SiO2相の含水量を定量する実験によって、スラブが運んだ水は脱水せず、コアーマントル境界域に水を供給しないことが明らかになった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21H04506
ID情報
  • 課題番号 : 21H04506
  • 体系的課題番号 : JP21H04506