共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2023年3月

協働的な運動性を付与した新規強誘電性材料の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
21K14606
体系的課題番号
JP21K14606
配分額
(総額)
4,550,000円
(直接経費)
3,500,000円
(間接経費)
1,050,000円

近年の情報通信社会の発展に対応するべく、強誘電体の技術革新が求められている。そこで本研究課題では、有機強誘電体材料の一つである電荷移動(CT)錯体型強誘電体に着目し、CT錯体にインターロック構造を導入することで、安定な結晶の作製およびキュリー温度の上昇を目指した。
まず初めに、計算化学を利用した分子設計に基づき、カップリング反応を中心とした有機合成を駆使し、インターロック分子の合成を進めた。ドナーを導入したV字屈曲型π共役系分子と、アクセプターを導入したV字屈曲型π共役系分子を、回転性の高い共有結合である3重結合で連結したインターロック分子の合成を試みたところ、目的のインターロック分子を合成することに成功した。得られた分子の構造は、核磁気共鳴(NMR)スペクトルおよび高分解能質量分析によって行った。インターロック構造に由来した分子内相互作用および分子の配置を明らかにするために、別途合成したモデル化合物を用いて、核磁気共鳴スペクトルの比較を行ったところ、プロトンシグナルのシフトから、分子内におけるπ共役系の近接を確認した。さらに、紫外・可視吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルの測定により、分子内電荷移動錯体の形成を示唆する結果が得られた。これらの結果がいずれも理論計算と一致することも見出している。
その他、前駆体を用いて集積化およびその構造解析を行った。単結晶X線構造解析より、CT錯体の形成が確認され、インターロック構造を構築することにより、さらに安定にCT相互作用を基盤とした集合体形成が可能であることが示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K14606
ID情報
  • 課題番号 : 21K14606
  • 体系的課題番号 : JP21K14606