共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

巨大地震津波は北海道西部太平洋岸を繰り返し襲うか?

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K03986
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

令和元年度は,苫小牧市勇払の低地において野外調査を実施した.この地域ではこれまでに17世紀前半の古津波が知られている(髙清水ほか,2007,2012).
本研究ではそれ以前の古津波履歴の解明を目指してより2地域において古い時代の地層の調査を実施した.苫小牧地域では最大深度5.40 mの掘削を実施した.その結果,約3000年以前と考えられる深度1.5 m層準以深の古環境はラグーン環境であった.明瞭なイベント堆積物は把握されなかった.鵡川地域では最大深度3.6 mの掘削を実施した.その結果,深度2.95mまで泥炭層を確認することができた.深度2.95mの泥炭の放射性炭素年代は約4650-4855 cal yBPであり,この泥炭層中の上位層中の明瞭な津波イベント候補は17世紀津波堆積物以外には確認されなかった.
また,苫小牧地域において17世紀津波堆積物の性状把握のために海岸から1.5 kmの範囲までの調査測線を設定し,試料採取を行った.調査地点数は26地点である.各地点においてコアラーおよびハンディジオスライサーによって試料採取を行い,現地において地層の特徴を記載した.その結果,内陸薄層化,内陸細粒化の傾向を把握した.また,沿岸低地の津波堆積物に特徴的な侵食的な基底面形状,侵食同時礫の存在,および級化ユニット等を確認した.
これまでに一般的に行われている堆積物の性状把握の手法をさらに高度化するために,本研究では医療用CTを用いた地層の3次元形態の把握やハンスフィールド単位(HU値)による定量的な津波堆積物の特徴把握の試みを進めた.そのために,今年度は地層のCT撮影に最適化した撮影条件を決めた.その結果,0.6 mmスライスの高詳細なCT画像を恵らることが分かった.

ID情報
  • 課題番号 : 19K03986

この研究課題の成果一覧

講演・口頭発表等

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