共同研究・競争的資金等の研究課題

2004年 - 2005年

血管壁におけるKlotho蛋白の作用機序の解明と新たな血管保護因子同定の試み

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(C)

課題番号
16590866
体系的課題番号
JP16590866
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
2,800,000円
(直接経費)
2,800,000円

平成16年度の研究目的は、「Klotho蛋白の血管内皮保護作用の機序(血管壁におけるKlotho蛋白の作用機序)」を解明することであった。
1.Klotho蛋白が細胞内情報伝達系に及ぼす影響を検討する。
我々は、培養血管内皮細胞において、Klotho蛋白を過剰発現することによりANP刺激によるcGMP産生が増加すること、また、培養血管平滑筋細胞においても、Klotho蛋白の過剰発現によりCNP刺激によるcGMP産生が増加することを見い出したが、このKlotho蛋白によるcGMPの産生増加作用は、プロテインキナーゼC(PKC)を阻害することによって抑制された。
2.Klotho蛋白がレニン-アンジオテンシン系に及ぼす影響を検討する。
我々は、培養血管平滑筋細胞において、Klotho蛋白を過剰発現することによりアンジオテンシンII(AngII)刺激による細胞増殖作用が促進されることを見い出した。このKlotho蛋白による細胞増殖の促進作用は、PKCまたはcAMP-dependent protein kinaseA(PKA)を阻害することによって抑制された。以上の実験結果より、Klotho蛋白はPKCおよびPKAを活性化することにより、多彩な作用を発揮している可能性が示唆された。
平成17年度の研究目的は、「腎尿細管に発現する血管保護作用を有する新たな分子の同定」を行うことであった。腎尿細管には血管保護作用があると仮定し、バルーンによる内皮傷害を生じさせたラットおよびラビットの尿細管細胞において特異的に発現が変化している遺伝子群の同定をmicroarrayを用いて試みた。しかしながら、血管傷害モデルの尿細管において発現が明らかに変化している遺伝子を同定することはできなかった。
以上より、腎尿細管に発現する血管保護作用を有する新たな分子の同定を試みたが、今回の実験系では同定することが困難であった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-16590866
ID情報
  • 課題番号 : 16590866
  • 体系的課題番号 : JP16590866