共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

内因的アルブミンの膵臓がん取り込み機構に基づく新規多機能ナノ粒子の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
18H02587
体系的課題番号
JP18H02587
配分額
(総額)
17,420,000円
(直接経費)
13,400,000円
(間接経費)
4,020,000円

血流の乏しい膵臓への抗がん剤の送達性は低い。そのため、膵臓がんの5年生存率は10%未満と、特に予後不良の高難治性がんであり、この問題の臨床現場での必要性は極めて高い。そこで本研究の目的を『膵臓がん治療のための効率的デリバリー担体の開発』とした。
この目的のため、ヒト血清アルブミン(HSA)を積極的に取り込むという膵臓がんの生存手段に着目した。本取り込み機構は、膵臓がんの難治度と正の相関があることが知られており、より難治性が高い膵臓がんへの効率的デリバリーが期待できる。そこで、これまで我々が行ってきた15年以上にわたる多角的検証により蓄積したアルブミンDDSに関する前臨床データを集約させるべく、微小環境改善作用やがん細胞特異的アポトーシス作用等を惹起する一酸化窒素(NO)や様々な抗がん剤を搭載した多機能HSAナノ粒子キャリアを開発し、膵臓がんへの画期的治療薬としての臨床応用を目指すべく、本研究を立ち上げた。初年度に明らかになったヒト膵臓がん同所移植モデルにおいてがん組織に移行する最適なアルブミン粒子サイズは、10~30nmのものであることを受け、2年目は、このサイズでのアルブミンナノ粒子の作製を行い、これに抗がん剤であるパクリタキセルやNO結合体の作製に着手した。実際、ヒトすい臓がん同所移植モデルを用いた検討結果から、パクリタキセルおよびNO結合アルブミンナノ粒子が現在臨床で使用されているアブラキサンと比較し、はるかに生存率の延長をもたらす結果が見えてきている。本知見は、最終年度以降のアルブミンナノ粒子の多機能性に繋がる有用な知見であると考えている。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18H02587
ID情報
  • 課題番号 : 18H02587
  • 体系的課題番号 : JP18H02587