共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

膵がん治療を目的としたアルブミン結合性NOラジカル放出型抗がん剤の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K07193
体系的課題番号
JP20K07193
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

膵がんは早期発見が難しく、最も予後の悪い固形がんの1つとして知られている。加えて、化学療法の奏効率も極めて低い。その原因として、膵臓や膵がん細胞周辺の血流量の低さや、腫瘍周辺の間質の多さが薬物移行性を妨げていることが報告されている。最近、NOラジカルが膵がん細胞だけでなく間質細胞に細胞死誘導効果を発揮することが報告された。
そこで我々は、新規膵がん治療薬開発を目的として、新しいNOラジカル放出剤であるニトロ化フェニル酪酸(NO2-PB)を合成した。これまで我々はNO2-PBが時間および濃度依存的に膵がん細胞株に対して細胞死を誘導することを見出している。そのため、NO2-PBの細胞死誘導メカニズムに明らかにするために各種検討を行った。これまでアポトーシスの関与の可能性が極めて低いことを明らかにしたことから、ネクローシスまたはネクロプトーシスの関与について検討を行った。ネクロプトーシス阻害剤であるネクロスタチンをNO2-PBと併用したところ、NO2-PBの細胞死誘導効果に有意な変化は観察されなかった。そのため、NO2-PBによる細胞死誘導にはネクローシスが関与している可能性が明らかとなった。さらに、in vivoでの抗腫瘍効果を評価するため、ヒト膵がん細胞株を皮下移植したマウスを用いて、NO2-PBの腫瘍増殖抑制効果について検討を行った。その結果、NO2-PB単回投与にも関わらず、コントロール群と比べて、約7週間もの間、有意な腫瘍増殖抑制効果が観察された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K07193
ID情報
  • 課題番号 : 20K07193
  • 体系的課題番号 : JP20K07193