共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2025年3月

超大型水チェレンコフ測定器で挑む超新星背景ニュートリノの発見と宇宙の進化の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
20H00162
体系的課題番号
JP20H00162
配分額
(総額)
44,460,000円
(直接経費)
34,200,000円
(間接経費)
10,260,000円

大質量の恒星はその一生の最後に超新星爆発を起こす。その際、爆発の99%以上のエネルギーはニュートリノによって宇宙空間にばらまかれる。宇宙に最初の星ができて以来、超新星爆発は約1秒に1回の頻度で絶えず起きており、その都度ニュートリノが宇宙にまき散らされていると考えられている。このニュートリノは超新星背景ニュートリノ(SRN)と呼ばれ、世界中で探索が進められているが、未だ発見には至っていない。世界最大のニュートリノ検出器スーパーカミオカンデ(SK)でSRNを発見するのが本研究の目的である。
2020年度の成果としてはしては、まず13トンの硫酸ガドリニウムをスーパーカミオカンデに導入したことである。ガドリニウムの導入により、SRN解析に対する背景事象を効果的に削減し、感度が劇的に向上する。導入は順調に行われ、約1ヶ月で完了した。導入後のデータから、期待通りの信号が確認でき、検出器も安定して稼働している。
本研究ではSKのデータ解析に加え、加速器を用いた素粒子・原子核反応の精密測定で、SRN発見に最も重要な大気ニュートリノによる背景事象の理解を進める。大気ニュートリノ反応の中でも、ニュートリノと水中の酸素原子核との中性カレント準弾性散乱(NCQE)と呼ばれる反応がSRNによる反応と全く区別がつかないため、この反応を精密に理解することが鍵となる。そこでNCQE 反応を、素性のよくわかったニュートリノビームを同じSK検出器で捉えるT2K実験で測定する。2020年度末からはT2K実験のデータ取得にも成功した。
さらにT2K実験における NCQE反応の精度を上げるために、ニュートリノビームの不定性を削減する NA61/SHINE実験と、酸素原子核を標的としたビーム実験を行う。前者では、我々が提案した実験が正式に採用され、2021年度に行うことが決定した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H00162
ID情報
  • 課題番号 : 20H00162
  • 体系的課題番号 : JP20H00162

この研究課題の成果一覧

講演・口頭発表等

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