2020年4月 - 2025年3月
超大型水チェレンコフ測定器で挑む超新星背景ニュートリノの発見と宇宙の進化の解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
大質量の恒星はその一生の最後に超新星爆発を起こす。その際、爆発の99%以上のエネルギーはニュートリノによって宇宙空間にばらまかれる。宇宙に最初の星ができて以来、超新星爆発は約1秒に1回の頻度で絶えず起きており、その都度ニュートリノが宇宙にまき散らされていると考えられている。このニュートリノは超新星背景ニュートリノ(SRN)と呼ばれ、世界中で探索が進められているが、未だ発見には至っていない。世界最大のニュートリノ検出器スーパーカミオカンデ(SK)でSRNを発見するのが本研究の目的である。
2020年度の成果としてはしては、まず13トンの硫酸ガドリニウムをスーパーカミオカンデに導入したことである。ガドリニウムの導入により、SRN解析に対する背景事象を効果的に削減し、感度が劇的に向上する。導入は順調に行われ、約1ヶ月で完了した。導入後のデータから、期待通りの信号が確認でき、検出器も安定して稼働している。
本研究ではSKのデータ解析に加え、加速器を用いた素粒子・原子核反応の精密測定で、SRN発見に最も重要な大気ニュートリノによる背景事象の理解を進める。大気ニュートリノ反応の中でも、ニュートリノと水中の酸素原子核との中性カレント準弾性散乱(NCQE)と呼ばれる反応がSRNによる反応と全く区別がつかないため、この反応を精密に理解することが鍵となる。そこでNCQE 反応を、素性のよくわかったニュートリノビームを同じSK検出器で捉えるT2K実験で測定する。2020年度末からはT2K実験のデータ取得にも成功した。
さらにT2K実験における NCQE反応の精度を上げるために、ニュートリノビームの不定性を削減する NA61/SHINE実験と、酸素原子核を標的としたビーム実験を行う。前者では、我々が提案した実験が正式に採用され、2021年度に行うことが決定した。
2020年度の成果としてはしては、まず13トンの硫酸ガドリニウムをスーパーカミオカンデに導入したことである。ガドリニウムの導入により、SRN解析に対する背景事象を効果的に削減し、感度が劇的に向上する。導入は順調に行われ、約1ヶ月で完了した。導入後のデータから、期待通りの信号が確認でき、検出器も安定して稼働している。
本研究ではSKのデータ解析に加え、加速器を用いた素粒子・原子核反応の精密測定で、SRN発見に最も重要な大気ニュートリノによる背景事象の理解を進める。大気ニュートリノ反応の中でも、ニュートリノと水中の酸素原子核との中性カレント準弾性散乱(NCQE)と呼ばれる反応がSRNによる反応と全く区別がつかないため、この反応を精密に理解することが鍵となる。そこでNCQE 反応を、素性のよくわかったニュートリノビームを同じSK検出器で捉えるT2K実験で測定する。2020年度末からはT2K実験のデータ取得にも成功した。
さらにT2K実験における NCQE反応の精度を上げるために、ニュートリノビームの不定性を削減する NA61/SHINE実験と、酸素原子核を標的としたビーム実験を行う。前者では、我々が提案した実験が正式に採用され、2021年度に行うことが決定した。
- ID情報
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- 課題番号 : 20H00162
- 体系的課題番号 : JP20H00162
この研究課題の成果一覧
絞り込み
講演・口頭発表等
2-
Workshop on "Exploration of Particle Physics and Cosmology with Neutrino" 2022年11月2日 招待有り
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日本物理学会 2021年9月17日 招待有り