基本情報

所属
京都大学人間・環境学研究科
独立行政法人日本学術振興会 特別研究員DC2
学位
修士(人間・環境学)(2020年3月 京都大学)

連絡先
nowhereman5811yahoo.co.jp
J-GLOBAL ID
202001004052840327
researchmap会員ID
R000008446

20世紀を代表する哲学者マルティン・ハイデガーを中心とした西洋現代哲学と、日本哲学(特に九鬼周造)を研究しています。

私の研究の背後にある大きな問題関心は、物事の正しさとそれを成り立たせる現実をどのように共有することができるのかということにあります。端的に表せば、真理や現実と共同体の関係性を私の研究は扱っています。

この問題関心のもと、私の研究は以下の二つの柱から成り立っています。

 

①ハイデガーにおけるアレーテイア(真理、真性、Wahrheit)概念の解明

②日本哲学を中心としたハイデガー受容史と間文化哲学(Interkulturelle Philosophie)の研究

 

以下、それぞれについて簡単に紹介していきます。

 

1、ハイデガーにおけるアレーテイア概念の解明

 

私は、真理や現実と共同体の関係を探求するために、ハイデガーのアレーテイア概念に着目しています。

彼は、真理を「物事の正しさ」と考えるのではなく、そもそもその「正しさ」を成り立たせている「現れ」を真理と考えています(なので、私はハイデガーのWahrheitという語を「真性」と訳すようにしています)。

これは、古代ギリシア語で真理に相当する語「アレーテイア」が「隠れなさ」を意味しうるということに由来します。

私の研究の目的は、第一にハイデガー研究として、彼の思索全体をこのアレーテイアの探求として解釈していくことです。

他方で、ハイデガーのアレーテイア概念には大きな問題があると私は考えています。それは、彼の「民族(Volk)」概念です。

ハイデガーは、彼の生涯にわたる探求の対象であった「存在」や「アレーテイア」にかかわる存在者として「民族」というものを考えています。この「民族」は、アレーテイアにかかわる共同体の排他性を表しうるはずです。

ハイデガーは、彼の主著『存在と時間』(1927)や、後期の思索にあたる『技術への問い』(1953)において、存在者の固有性を重視しています。

しかし、これは同時にアレーテイアを共有する共同体の排他性につながりうるのではないのか。

この問題意識が、私の研究の第二の柱につながります。

 

2、日本哲学と間文化哲学の研究

 

私は、ハイデガーのアレーテイア概念を出発点にして、物事の正しさを成り立たせる現実(アレーテイア)をどのように共有できるのかを探求しています。特にこの問題を、異なる文化間で考えています。

そのさいに私が目指しているのは、文化間の差異を安易に均一化せずに、文化の固有性を尊重しつつ共有する道を探ることです。

このために、私はハイデガー哲学と並行して日本哲学の研究をしてきました。

日本哲学は、田辺元、和辻哲郎、九鬼周造をはじめとして、積極的にハイデガーの哲学を受容してきました。

日本哲学を研究することで、ハイデガーの問題意識、およびその思索を、日本という異なる文化圏がどのように引き受けることができるのかを考えることができます。

私は、日本哲学の研究を土台にして、ハイデガーのアレーテイア概念の研究を間文化哲学の研究へと発展させていこうと考えています。

この間文化哲学の研究を通して、私の主たる問題意識である物事の正しさを成り立たせる現実の共有可能性に迫りたいと考えています。

さらにこの研究は、グローバリゼーションが進む現代における国際交流のあり方を考えることにも寄与できると期待しています。

3、アウトリーチ活動

 

社会貢献活動の一環として、高校生や一般向けに、わたしの研究をわかりやすく伝える活動を行っております。

哲学を含む人文科学が、わたしたちの社会と実際につながっていることを伝えていきたく考えております。

 これまでに京都大学高大連携事業による高校生向けの配信授業、および古典講読サービスThe Five Booksさんでの一般向け読書講座を行ってきました。

 

 


委員歴

  1

論文

  6

MISC

  1

講演・口頭発表等

  11

共同研究・競争的資金等の研究課題

  1

社会貢献活動

  9