MISC

2014年10月

虚血と不整脈 J波と虚血性心室細動の関係 冠攣縮狭心症における検討

心電図
  • 佐藤 光希
  • ,
  • 渡部 裕
  • ,
  • 池主 雅臣
  • ,
  • 和泉 大輔
  • ,
  • 小澤 拓也
  • ,
  • 伊藤 英一
  • ,
  • 田辺 恭彦
  • ,
  • 相澤 義房
  • ,
  • 南野 徹

34
2
開始ページ
118
終了ページ
126
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.5105/jse.34.118
出版者・発行元
(一社)日本不整脈心電学会

近年、心室細動(VF)に関連する疾患として、J波症候群という新しい疾患群が提唱された。虚血性心疾患においてもJ波の存在やその変化は、心筋虚血とVF発生との関係を解析するうえで非常に重要である。われわれは、心筋虚血による超急性期のJ波の変化とVF発生の関係を明らかにするため、冠攣縮誘発試験施行例のうち虚血が誘発された67例において、J波とVF発生の関係を検討した。その結果、67例中14例において安静時心電図にJ波が存在していた。冠攣縮誘発による虚血に伴って、安静時心電図のJ波は14例中7例で増悪を示し、そのうち4例でVFに至った。一方で、安静時心電図でJ波が見られなかった53例のうち、4例で虚血に伴って新たなJ波が出現したが、VFは生じなかった。J波に変化がみられなかった49例のうち1例でのみ、VFを生じた。冠攣縮誘発試験前のJ波の存在は、冠攣縮誘発時のVF発生に関係した(OR 20.8、p=0.006)。また、冠攣縮誘発時のJ波の増悪・出現もVF発生に関与した(OR 31.4、p=0.002)。このことから、J波は冠攣縮誘発時の心筋虚血の超急性期において、VFに関係していることが示された。心筋虚血の超急性期におけるJ波を含めた特異な心電図変化を解析することは、虚血性VFや虚血性心疾患の突然死のリスク階層化にも有用と考えられる。さらに研究を進めていくことで、虚血性VFの機序や病態が解明し、治療に貢献していくことが期待される。(著者抄録)

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.5105/jse.34.118
ID情報
  • DOI : 10.5105/jse.34.118
  • ISSN : 0285-1660
  • 医中誌Web ID : 2015044915

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