共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

環境・まちづくり先進都市に見られる共創的プロセスの記述と後進地域への展開

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
21K12358
体系的課題番号
JP21K12358
配分額
(総額)
4,030,000円
(直接経費)
3,100,000円
(間接経費)
930,000円

地域の構造転換により環境や社会と調和した持続可能な地域づくりを実現したグッドプラクティス(環境・まちづくり先進都市)として知られている岩手県紫波町,宮城県女川町,宮崎県日南市の3地域を対象として,資料文献調査及び政策担当者へのインタビュー調査を実施した.インタビュー調査の議事録のうち課題解決のプロセスについて言及されている部分を抽出し,それぞれにタイトルを付与するとともに,パターン・ランゲージのフォーマット(状況・問題・フォース・解決方法・結果状況)にしたがって説明を記述した.その結果,28のパターンが抽出された.抽出されたパターンは,それぞれの地域づくりの前線で関わった当事者の視点から記述されている点が特徴的である.例えば,新旧の中心地を同時にプロジェクトエリアとして設定することで地域対話が促進されるといった機微な情報を捉え表現するパターンが抽出されている.既往研究では,客観性を重視するあまり,このような実践者の視点は十分考慮されてこなかった.しかし,地域づくりの現場では,実践者はそれぞれの視点から得られる限られた情報の中で,様々な意思決定をすることが求められている.パターン・ランゲージの枠組みに基づいて記述された情報は,現場の実践で求められている視点とも合致するものであると考えられる.このように,当事者的な視点から施策実施プロセスの要点を捉えた有用の知見を抽出することができた.さらに,抽出されたパターンから先進事例に共通するプロセスを分析することにより,全体的な構造として,動き出すためのきっかけがあり,そして,それに続いて調査研究やローカルガバナンスなどに関する間接的な取り組みがなされつつ,組織体制や基本計画が整備される.その上で,直接的なプロジェクトのデザインがなされるという構造が共通して見出された.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K12358
ID情報
  • 課題番号 : 21K12358
  • 体系的課題番号 : JP21K12358