共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2019年3月

方向感度暗黒物質探査に向けた光学的異方性シンチレータの探索と実証

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
17H05190
体系的課題番号
JP17H05190
配分額
(総額)
6,500,000円
(直接経費)
5,000,000円
(間接経費)
1,500,000円

暗黒物質は、白鳥座方向から「吹いてくる」と地球上からは感じる、とされていることから、方向感度を持ち、暗黒物質と相互作用する物質を利用すれば、より感度よく暗黒物質とその他のノイズを分別することができる。その候補として、タングステン酸塩結晶を用いたシンチレータに、本研究では注目した。シンチレータとは、放射線などの高いエネルギーの光子や粒子が入射すると、我々の目、ないしは、光検出器で感じることのできる光を発光する機能性材料である。
タングステン酸結晶を中心に単結晶をチョクラルスキー法を用いて育成を行った。チョクラルスキー法は、質の良い結晶を育成できる方法のひとつであり、たとえばシリコン半導体の結晶育成にも利用されている方法である。育成した結晶については、評価用に、切り出し・研磨を行った。その後、暗黒物質はそもそも正体不明であるので、模擬的にアルファ線やガンマ線と呼ばれる放射線を当てて、その時の発光の様子について観察した。
結晶とは、あるユニット(単位格子)が規則正しく並んだものであるが、この格子が直方体に近い形を当該結晶は取っており、そこに入射するガンマ線はエネルギーが同じでも、入射する面によって発光量が異なるということが分かった。これまでのシンチレータでは、ガンマ線などの放射線を入射させると、発光量は結晶の入射面に依らないことが常識であったため、この結果は驚きでもあった。
本研究では、さらに、なぜ、このような現象が起こるのかについての、解明についても取り組んだ。未だ解明中ではあるものの、あるグループにおいては結晶の入射面によって発光特性が変わることが分かってきた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PUBLICLY-17H05190
ID情報
  • 課題番号 : 17H05190
  • 体系的課題番号 : JP17H05190