2019年4月 - 2024年3月
発熱植物ザゼンソウの体温調節に関わる温度センシングモジュールの探索と同定
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
- 課題番号
- 19H02918
- 体系的課題番号
- JP19H02918
- 担当区分
- 研究代表者
- 配分額
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- (総額)
- 17,160,000円
- (直接経費)
- 13,200,000円
- (間接経費)
- 3,960,000円
ザゼンソウ(Symplocarpus renifolius)は早春の寒冷環境で発熱し、外気温の変動にも関わらずその熱産生器官である肉穂花序と呼ばれる花器の温度を23°C程度に維持できる恒温性を有している。本植物の器官特異的な熱産生にはミトコンドリア内膜に局在するシアン耐性呼吸酵素(AOX)の関与が指摘されている。一方、本植物の恒温性に関わる温度センシングモデュールは鋭敏な温度感受性を有することが予想されているが、その詳細は不明のままである。本年度の研究においては、発熱組織をターゲットとしたトランスクリプトーム及びメタボローム解析の情報に基づき、アミノ酸代謝に関わる経路、及び、硫黄代謝に関わる経路を中心に解析を進めた。メタボローム解析から、温度変化に逆の方向を持って特異的に蓄積する代謝産物としてグルタミン酸とグルタミンが同定されており、本年度はGS/GOGAT回路に着目した解析を実施した。具体的には、ザゼンソウ発熱組織からクローン化したGS遺伝子を大腸菌で発現し、当該タンパク質を精製した。さらに、精製したタンパク質を元にGS活性を測定できるシステムを整備した。また、ザゼンソウGSタンパク質に対する特異抗体を作成し、発熱組織におけるGSの発現をウエスタン法で検出できる実験系を構築した。また、GOGAT遺伝子のクローニングにも成功し、次年度以降、大腸菌で当該タンパク質を発現・精製し、種々の温度で活性を測定できる準備が整った。また、これまでの研究により硫黄経路に関わる遺伝子群の中には、AOXよりも高い発現を示す遺伝子が見いだされていたが、本年度においては、当該遺伝子産物に対する特異抗体を作成し、当該タンパク質の温度に応答した機能に着目した解析を実施した。その結果、問題とする遺伝子産物は、AOXを介する呼吸経路には影響を与えないものの、チトクロームcオキシダーゼを介した呼吸経路の阻害に関わっていることが示された。
- ID情報
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- 課題番号 : 19H02918
- 体系的課題番号 : JP19H02918
この研究課題の成果一覧
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論文
2-
Plant Physiology 2024年2月 査読有り最終著者責任著者
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Biochemical Journal 477(17) 3417-3431 2020年9月17日 査読有り筆頭著者責任著者
講演・口頭発表等
1-
第93回日本生化学会大会 2020年9月15日