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2020年6月

COVID-19有識者会議 英米豪のCOVID-19関連ACPの概況


https://www.covid19-jma-medical-expert-meeting.jp/topic/2792

アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の話し合いは、多くの国の政策や臨床において重視されている。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のような死に至るまでの時間が比較的短い疾患の場合、十分に話し合いを行う時間や余裕が、患者とその家族、医療従事者の双方にない可能性が高い。
諸外国では、COVID-19のパンデミック(世界的流行)時の今こそ、人生の最終段階の医療やケアなどさまざまな内容について話し合うプロセスであるACPが重要と指摘されている。実際に、欧米諸国を中心に、COVID-19に関するACPガイダンスやフォーマットが作成され、重症化するリスクのある人たちに、ACPの話し合いを促している。
日本では、COVID-19パンデミックにおいて、罹患して重症化した場合に高度医療を受けるかどうか、自分が最後まで大切にしたいことは何か、あらかじめ話し合っておく必要があるという議論が十分にはなされていない。その背景として、一つは、人工呼吸器が不足し、治療方針に関する患者の意思をあらかじめ確認して「装着したくない」という患者を特定しておかなければならない状況には至らなかったことがある。もう一つは、感染症のパンデミック時において、社会的に弱い立場にある人たち(例えば高齢者や基礎疾患のある人たち、諸外国では人種・民族的マイノリティなど)がACPの話し合いを強制される、あるいは、社会的圧力を感じて治療方針を選択せざるを得ない状況が発生することへの懸念があるためと考えられる。
しかし、今回のような状況においてこそ、日本でも「人生会議」をすることが大切ではないか。自分ががんなどの慢性疾患だけでなく、COVID-19のような感染症にかかって命が限られた状況になった時、どのような治療を望むのか、あるいは、望まないのか、さまざまな内容を家族や親しい友人などと話し合うということ自体は重要だと考える。