2016年11月
人工股関節全置換術後患者に対し自覚的脚長差の改善が歩行能力向上に有効であった一症例
大分県リハビリテーション医学会誌
- 巻
- 14
- 号
- 開始ページ
- 18
- 終了ページ
- 21
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 大分県リハビリテーション医学会
症例は60歳代女性で、10年前より左股関節痛を自覚し、2年前より次第に疼痛が増強した。日常生活動作(ADL)は自立、屋内外歩行も独歩可能であったが、股関節痛により長距離歩行が困難となり外出する頻度が減っていた。両側性原発性股関節症(両股OA)の診断に対し、左人工股関節全置換術(THA)を予定した。術後、左股関節痛は消失したが、新たに中殿筋と大腿筋膜張筋(外転筋群)の伸張痛が出現し、股関節内転可動域0°と外転筋群の伸張性低下による制限を認めた。また、棘果長差は0mmとなったが、自覚的脚長差(PLLD)を5mm(左>右)認め、立位姿勢は術前と同様左股関節外転外旋位となり左骨盤は下制していた。歩行では可動域制限と伸張痛によりDuchenne歩行を呈した。1週目は、外転筋群の伸張性低下に対してスタティックなストレッチングから実施した。2週目からは外転筋群の緊張緩和や伸張痛軽減を目的にホットパックを使用した。3週目には応用動作としてスクワットや跨ぎ動作練習を行った。術後21日目に独歩で自宅退院となった。
- ID情報
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- 医中誌Web ID : 2018031165