2020年4月 - 2023年3月
自己炎症性角化症におけるプレシジョンメディシンの開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本研究の目的は、自己炎症性角化症 (autoinflammatory keratinization diseases: AiKD) の包括的病態解明を目指し、各々の患者に適したプレシジョンメディシン開発に直結する基礎的データを得ることである。2021年度の目標は、昨年度に引き続き、病因遺伝子が明らかにされていない汎発性膿疱性乾癬と毛孔性紅色粃糠疹などのAiKD症例において、全エクソームシークエンス法で新規病因遺伝子を同定すること、モデルマウスの作製と解析であった。
既知の原因遺伝子に変異を認めないAiKD患者のDNAを用いて全エクソームシークエンス解析を行い、未報告のJAK1遺伝子変異を同定した。ヒトのJAK1遺伝子と相同のマウスのJak1遺伝子に、このAiKDの患者が持つ遺伝子変異に相当する部分のJak1遺伝子変異を持つマウスを作成し、Jak1遺伝子変異ノックインマウスと野生型マウスの間で、タンパク質と遺伝子の発現の比較を行った。その結果、Jak1遺伝子変異ノックインマウスの皮膚組織と肝臓組織では、野生型マウスと比較して、JAK1タンパク質とSTATファミリータンパク質のリン酸化が増強されていた。Jak1遺伝子変異ノックインマウスの皮膚組織、肝臓組織、脳組織では、野生型マウスと比較して、チロシンキナーゼ活性の亢進と、その下流のNF-kBの活性化に関連する遺伝子の発現上昇が見られた。さらにAiKD患者のJAK1の機能を調べるために、野生型のJAK1タンパク質と患者に見られる変異型JAK1タンパク質をHEK293細胞に形質導入する実験を行い、変異型JAK1タンパク質を発現させた細胞では、野生型JAK1タンパク質を発現させた細胞と比較して、JAK1タンパク質とSTATファミリータンパク質のリン酸化の増加が確認できた。
既知の原因遺伝子に変異を認めないAiKD患者のDNAを用いて全エクソームシークエンス解析を行い、未報告のJAK1遺伝子変異を同定した。ヒトのJAK1遺伝子と相同のマウスのJak1遺伝子に、このAiKDの患者が持つ遺伝子変異に相当する部分のJak1遺伝子変異を持つマウスを作成し、Jak1遺伝子変異ノックインマウスと野生型マウスの間で、タンパク質と遺伝子の発現の比較を行った。その結果、Jak1遺伝子変異ノックインマウスの皮膚組織と肝臓組織では、野生型マウスと比較して、JAK1タンパク質とSTATファミリータンパク質のリン酸化が増強されていた。Jak1遺伝子変異ノックインマウスの皮膚組織、肝臓組織、脳組織では、野生型マウスと比較して、チロシンキナーゼ活性の亢進と、その下流のNF-kBの活性化に関連する遺伝子の発現上昇が見られた。さらにAiKD患者のJAK1の機能を調べるために、野生型のJAK1タンパク質と患者に見られる変異型JAK1タンパク質をHEK293細胞に形質導入する実験を行い、変異型JAK1タンパク質を発現させた細胞では、野生型JAK1タンパク質を発現させた細胞と比較して、JAK1タンパク質とSTATファミリータンパク質のリン酸化の増加が確認できた。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K08648
- 体系的課題番号 : JP20K08648