2015年6月25日
感染症清浄化と畜産新生 —牛白血病ウイルス対策を通して—
日本草地学会誌
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- 巻
- 61
- 号
- 1
- 開始ページ
- 35
- 終了ページ
- 38
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)
- DOI
- 10.14941/grass.61.35
- 出版者・発行元
- 日本草地学会
地方病性牛白血病(以下,牛白血病)は,家畜伝染病予防法に定める届出伝染病である。近年の調査によると,全国の乳牛,肉用牛における牛白血病ウイルスの感染率は約35%で,30年前に比べ4倍以上に増えており,予後不良や屠場における全廃棄による損失が大きな問題となってきている。感染牛淘汰による対策は,国や県からの補助が無い現状において多くの農家で経済的に不可能である。現在,著者らは小規模畜産農家にとっても経済的負担の軽い,実現可能な牛白血病の清浄化プログラムの確立に取り級んでいる。宮崎県では,2010年に口蹄疫が発生し,多くの畜産農家が飼育家畜の全淘汰を余儀なくされた。口蹄疫の発生農場が集中した宮崎県児湯郡川南町および都農町では,ゼロからのスタートを機にいち早く特定疾病フリーを目指した施策を推進した。その中でも全国的に問題が表面化している牛白血病について,スタート当初から地域全体で,清浄化対策を積極的に進めてきた。こうした動物感染症の清浄化への努力は,悪性動物伝染病に対する認識を高め,防疫強化につながるとともに,今後の畜産新生に重要な礎となると考えられる。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.14941/grass.61.35
- ISSN : 0447-5933
- CiNii Articles ID : 130005084629
- CiNii Books ID : AN00194108