IoT（Internet of Things）の本質は，インターネットにモノが繋がった結果，モノがコトを生み出すことであり，グッズドミナントロジックからサービスドミナントロジックへの転換だと言える．それに伴い，ユーザーの主観的な感性特性を扱う概念であるユーザーエクスペリエンス（UX）に対する認知が広がている．特にスマートフォンによってもたらされたUXは，人々の慣行軌道を変えた破壊的イノベーションを起こし，小さな画面の中に様々なことが集約された．また最近はスマートスピーカーもブームになっており，音声によるUXも話題に上るようになった．<br />
そこで，本稿では画面の中や音声のみの体験ではなく，実体のある物の動きによるUXデザインに着目した．「日常の中で心をくすぐる環境のデザイン」をコンセプトに二つの取り組みを行った．一つが，日常生活の中で共に過ごす同胞として「デスクトップコンパニオンデバイス Tickle Cube」．もう一つがビジネスに取り入れた場合の事業開発型の取り組みについて報告する．