2018年
平和モニュメントと観音像――長崎市平和公園内の彫像における信仰と形象
宗教と社会
- 巻
- 24
- 号
- 開始ページ
- 97
- 終了ページ
- 111
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- DOI
- 10.20594/religionandsociety.24.0_97
- 出版者・発行元
- 「宗教と社会」学会
<p>本稿は、長崎市の平和公園に設置された彫像に対する「祈り」について考察するものである。よく知られた《平和祈念像》は、長崎市の重要な観光資源となっている。しかし巨大で異質な造形の彫像は、地域住民から批判的に論じられることが多かった。作者である北村西望は、特定宗教によらない祈りの対象を目指したが、原爆犠牲者のために祈る対象として《平和祈念像》では不十分であった。《平和祈念像》が納骨機能を持たずに完成したため、行政も関わる形で納骨堂が作られ、本尊として《聖観世音》が設置された。《聖観世音》は遺骨との関係もあり、原爆犠牲者の慰霊を祈る対象となった。長く死者の供養を担ってきた仏教によって裏付けされた《聖観世音》は、見慣れた造形であることで、信仰的な意味を理解することが容易である。つまり公共空間である平和公園の「祈り」においても、観音像のような既存の信仰体系の形象が重要であった。</p>
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.20594/religionandsociety.24.0_97
- ISSN : 1342-4726
- CiNii Articles ID : 130007867080
- CiNii Books ID : AA11333281