2011年4月 - 2012年
プラズマ曝露により半導体表面に誘起される欠陥を高精度で解析する分光測定技術の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
プラズマエッチング後のシリコン表面における欠陥密度分布のプロファイルは,ウェット処理後に残留する欠陥密度とリセス深さを支配するため,その非破壊測定は重要である.そこでHeプラズマもしくはArプラズマによるダメージをSiウエハに与える実験を行い,欠陥密度分布プロファイルを比較する実験を行った.プラズマ曝露後,希釈フッ化水素酸溶液によりダメージ層を数オングストロームずつ除去し,各除去量に対し分光エリプソメトリー(SE)測定とフォトリフレクタンス分光法(PRS)測定を行い,欠陥分布のプロファイル解析を行った.ダメージ層のSEによる評価においては,光学モデルに「界面層(IL)」を含めるのが良いということが判明しており,その厚さをdILとする.また,PRSの結果の解釈にあたっては,3.4eVに現れるピークの信号強度|△R/R|に注目し,この値が元の値より小さくなるほど欠陥密度が高いと判断できることがわかっている.プラズマ曝露前はdILが小さく|△R/R|が大きく,曝露後はdILが増大し|△R/R|は低下した.ウェットエッチングを行うとdILは小さくなり,|△R/R|は大きくなった.Arの場合,dILが減少するにつれて|△R/R|はプラズマ曝露前の値に接近していく傾向が見られた.これは,欠陥の大部分がSEにおけるILの中に位置していたことを意味する.一方Heの場合は,dIL→0としても欠陥が残留する傾向が得られた.これは,ILよりも深い領域にまで欠陥が分布していたことを意味する.He+イオンは質量が小さく半径が小さいため,Arの場合よりも深い領域に欠陥が生成されたと説明できる.また,両測定手法の特性の違いを議論し,それぞれの手法が検出対象とする構造の対応関係を明らかにした.これらの成果は,デバイス製造現場におけるダメージモニタリングのために有益な知見となることが期待される.
- ID情報
-
- 課題番号 : 11J01382
- 体系的課題番号 : JP11J01382
この研究課題の成果一覧
絞り込み
論文
2-
Japanese Journal of Applied Physics 53(3S2) 03DF01 2014年3月5日 査読有り筆頭著者
-
Japanese Journal of Applied Physics 50(8S2) 08KD03-1-08KD03-7 2011年8月22日 査読有り筆頭著者
講演・口頭発表等
4-
第156回 応用物理学会シリコンテクノロジー分科会研究会「プラズマプロセスの最前線」 2013年2月15日 応用物理学会 シリコンテクノロジー分科会 ナノ・マイクロファブリケーション研究委員会 招待有り
-
シリコン材料・デバイス研究会 (SDM) 2012年10月25日 電子情報通信学会 エレクトロニクス ソサイエティ
-
ICAN Kyou Sou Seminar 2012年3月 産業技術総合研究所ナノデバイスセンター 招待有り
-
Proc. 34th International Symposium on Dry Process (DPS), pp. 181-182 2012年