MISC

2018年

中学校家庭科保育領域の学習内容の検討:教科書分析から

日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
  • 叶内 茜

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記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
日本家庭科教育学会

【背景と目的】<br> 中学校家庭科では、3年間で87.5時間という限られた授業時間の中で多岐にわたる内容を教える必要がある。現行の学習指導要領の「A家族家庭と子供の成長」については、全日本中学校技術・家庭科研究会(2016)の調査結果より16~20時間を配当している中学校が最も多いことが明らかになっている。領域Aのうち保育に関する内容のみに絞ると学習時間はさらに少ない。また、学習指導要領に示されている内容をどのように教えるのかは教師の裁量によるところが大きいといえる。過去10年ほどの中学校家庭科保育学習に関する先行研究の多くは、ふれ合い体験について扱ったものが中心である。これは、現行の学習指導要領より幼児とのふれ合い体験が必修化されたことの影響が大きいと考えられる。しかし、ふれ合い体験そのものに充てる時間は2時間程度であることが多く(岡野ら,2012等)、ふれ合い体験以外の部分の保育に関する学習について、どのような学習が行われているのかはあまり明らかになっていない。本研究ではこの点を明らかにしていきたい。<br>【方法】<br> 家庭科の学習では教師によって使用する教材が異なるが、教科書の発行に関する臨時措置法第2条によって、教科書は「教科の主たる教材」として位置づけられている。そのため、教科書の内容を分析することで保育に関する学習内容を整理することを試みる。<br> はじめに、現行の平成20年告示の中学校家庭科の学習指導要領解説では保育領域についてどのように規定されているのか、その内容をカテゴリーに分けて整理する。<br> 次に、現在中学校で使用されている平成28年度~平成31年度用の中学校技術・家庭(家庭分野)の教科書では、学習指導要領に記載されている保育領域の内容についてどのような記述があるのか、先に整理した学習指導要領解説のカテゴリーをもとに明らかにする。分析に使用する教科書は、中学校技術・家庭科(家庭分野)の教科書として出版されている全3社3冊(開隆堂・教育図書・東京書籍)である。分析にあたり、教科書の内容と学習指導要領との対照および各教科書の特色を把握するため、各出版社が公開している編修趣意書を参考とした。<br>【結果と考察】<br> 学習指導要領解説については、内容A(3)のア~ウについて、カテゴリーに分けることができた。内容エについては、ア~ウのすべてと関連が深いため、独立したカテゴリーは設けないこととした。<br> 教科書については、発展的な学習内容の記述を含め、教科書の総頁に占める保育領域頁の割合は11.2~13.1%であった。教科書の内容のうち基本的生活習慣については、基本的生活習慣とは何を指すのかが中心に書かれているものと、年齢の目安と出来る内容が細かく載っているものに分かれた。学習指導要領解説では「大人が適切な時期と方法を考えて身に付けさせる必要があることを理解させる」と示されており、幼児は発達の個人差も大きいことから中学校段階でどこまで理解させる必要があるのかは検討が必要である。<br> 各社で頁数の配当に最も差があったのは、幼児とのふれ合いに関する内容であった。最も少ないものが6頁、多いものが12頁であった。各社とも幼児とのかかわり方のポイントや注意事項について書かれていた点は共通していたが、頁数の多い教科書ではふれ合い体験の全体の流れが細かく記載されていた。<br> 学習指導要領解説では示されていないが、「社会的生活習慣」や「子育てを支える機関や施設」「子どもの権利条約・児童憲章」についてはいずれの教科書でも扱われていた。<br>【今後の課題】<br> 今後は中学校での学習内容と小学校や高等学校での保育領域の学習内容との系統的な学びについても検討していきたい。<br><br>本研究はJSPS科研費17J08852の助成を受けたものである。

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http://ci.nii.ac.jp/naid/130007472579
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  • CiNii Articles ID : 130007472579
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