2012年12月
潜在的な観光客の仮想行動に着目した歴史的景観の保全による観光需要の地理的変動―京都市における事例分析―
経済地理学年報
- ,
- 巻
- 58
- 号
- 4
- 開始ページ
- 336
- 終了ページ
- 356
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- DOI
- 10.20592/jaeg.58.4_336
- 出版者・発行元
- 経済地理学会
本稿では,京都市への潜在的な観光客の仮想行動に着目し,京都市における歴史的建築物の改修・保全による観光需要の地理的変動を検討した.そこでは,京都市内における歴史的建築物が改修・保全される仮想の景観政策を想定し,この政策が実行される前後の京都市への訪問頻度の地域差から,景観政策の地域的な波及効果を検討した.分析データとしては,20歳以上のYahoo!リサーチ登録モニターに対するWeb調査により得られた仮想行動に関するデータを利用した.本研究では,京都市への訪問頻度を従属変数居住地方や年齢,性別,世帯人数世帯年収を独立変数とするランダム切片ゼロ膨張ポアソン回帰モデルにより,訪問頻度のモデルを推定した.分析の結果,京都市への訪問頻度は京都市へのアクセスの良い近畿地方で突出して高く,京都市からの距離に応じて逓減している傾向が見られた.また,歴史的建築物の改修・保全後には京都市への観光客数は増加し,その数は京都市へのアクセスが良く人口が集中している京阪神大都市圏を含む近畿地方で最も大きい値を示した.単位人口当たりの訪問頻度の増加量に着目してみると,京都市から遠距離に位置する九州地方や北海道・東北地方で高い値が示された.
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.20592/jaeg.58.4_336
- ISSN : 0004-5683
- CiNii Articles ID : 110009593970
- CiNii Books ID : AN00071152