共同研究・競争的資金等の研究課題

2012年8月 - 2015年3月

高齢慢性心不全患者の再入院を予防する訪問看護ケアの解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 研究活動スタート支援  研究活動スタート支援

課題番号
24890186
配分額
(総額)
1,820,000円
(直接経費)
1,400,000円
(間接経費)
420,000円

【研究の目的】本年度は、高齢慢性心不全患者に対して訪問看護師が行っている生活に即した心不全ケア内容を明らかにすることを目標に、まず文献検討を主として行った。
【方法】MEDLINE・CINAHAL・医学中央雑誌およびハンドサーチによって、高齢慢性心不全患者の訪問看護利用の現状およびケア内容に焦点を当てている文献について本邦および諸外国の現状を調査した。
【結果】調査結果より、在宅酸素療法に関連した文献またはチーム介入による疾病管理システムの構築(J-HOMECARE)などの文献が多数見受けられたが、ケア内容をまとめた文献は限られていた。
文献検討より心不全の療養において、疾患による生活制限を補うための介護サービスと共に訪問看護が導入されることが多いことがわかった。しかし、身体障害や医療処置は少なく、生活行動もゆっくりなら行うことが可能なため、NYHA(ニューヨーク心臓協会心機能分類)が重度であっても要介護への反映は見られず、必要量のサービスが受けられないなどの社会的背景があることもわかった。
一方でJ-HOMECAREから、看護師が訪問指導や電話フォローで「家庭環境の整備」「心不全の状態・日常生活動作等の評価」「内服のサポート」などの専門的プログラムを行うと、外来のみで療養するよりも再入院率の低下に寄与したことが示された。上記は訪問看護で日常行われているケア内容と類似すると思われるが、現在提供されている訪問看護ケアを心不全の視点からまとめた文献はほぼ見当たらない。以上より訪問看護師が行なっているケアを「再入院を予防する心不全ケア」の視点から明らかにすることで、慢性心不全患者の訪問看護利用が再燃予防に有用であることが周知できる可能性がある。来年度は、実際に高齢慢性心不全患者に対して訪問看護師が行っている生活に即した心不全ケアについてインタビューを行い、分析する予定である。

ID情報
  • 課題番号 : 24890186