共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

薬物代謝酵素の動的構造揺らぎがリガンドおよび水分子の認識に与える影響

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K08257
配分額
(総額)
4,810,000円
(直接経費)
3,700,000円
(間接経費)
1,110,000円

平成30年度においては、シトクロムP450 (CYP) およびジヒドロピリミジナーゼ (DHP) の分子動力学 (MD) シミュレーションを行った。これらについては野生型および変異型のシミュレーションを行い、遺伝子変異の影響でタンパク質立体構造にどのような変化が現れるかを推定した。CYP2C8およびCYP2A6、DHPについては前年度から引き続き計算を行い、変異型で基質認識部位やレドックスパートナー認識部位に変化が現れることを見出した。特に活性部位が大きく柔軟なCYP2C8と、小さく堅いCYP2A6では変異の影響も大きく異なっており、後者では活性に影響のある変異の多くが活性部位周辺にあるのに対して、前者では比較的多様な変異が起こっていることが示された。またDHPでは一残基変異が比較的大規模な構造変化を引き起こしており、特に金属原子である亜鉛周辺の構造変化が活性に大きく影響していると推測される。また、今年度より新たにCYP2A13やカルボキシエステラーゼ2 (CES2) のMDシミュレーションも開始した。これらはいずれも比較的構造的検討の進んでいない系であり、特にCES2については実験構造が得られていないタンパク質でもある。これらはいずれも実験研究者との共同研究で扱っているタンパク質で、共同研究者らが活性を精査したタンパク質である。これらのシミュレーションは現在のところ安定に進んでおり、構造的特徴の抽出が可能になるものと考えられる。また、実験研究者との共同研究でCYP2C9やCYP1A2についても簡便に構造評価を行っており、実験結果を説明するための立体構造を得ることに成功している。

ID情報
  • 課題番号 : 17K08257