論文

査読有り 筆頭著者
2020年9月

診断名の提示が自閉症スペクトラム障害に対するスティグマに及ぼす影響:知識との関連から

発達心理学研究
  • 谷口 あや
  • ,
  • 山根 隆宏

31
3
開始ページ
130
終了ページ
140
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(学術雑誌)
DOI
10.11201/jjdp.31.130
出版者・発行元
一般社団法人 日本発達心理学会

本研究の目的は,自閉症スペクトラム障害(以下,ASD),アスペルガー障害(以下,AS)の診断名の提示が大学生のASDに対するスティグマにどのような影響を及ぼすのか,またASDへの知識との関連がみられるのかを検討することであった。大学生286名を対象に質問紙調査を実施した。ASDの特性(関心の制限,社会的相互作用の困難)を示す登場人物を描写した2つの場面のビネット(グループ課題場面,クラブ活動場面)を提示し,1)ASD条件,2)AS条件,3)診断なし条件の3条件をランダムに配布し,ビネット内の登場人物に対する社会的距離を評定させ,スティグマを測定した。その結果,どちらの場面においても,ASD条件,AS条件,診断なし条件のすべての条件間において,社会的距離に差は見られなかった。次に,どちらかの診断名を提示している,診断あり条件と,診断名を提示しない,診断なし条件間で知識の影響を確認するために,社会的距離を従属変数とした階層的重回帰分析を行った。その結果,診断名の有無と知識の交互作用が確認された。どちらの場面においても診断あり条件において知識の単純傾斜が有意であり,知識が高い場合には社会的距離が近かった。以上のことから,大学生のASDに対するスティグマには提示する診断名そのものの効果はみられず,診断名提示の有無と知識の高低の関連を踏まえた上で検討していく必要性があることが示唆された。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.11201/jjdp.31.130
CiNii Books
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN10229548
CiNii Research
https://cir.nii.ac.jp/crid/1390574953711096576?lang=ja
URL
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I030775548
URL
http://id.ndl.go.jp/bib/030775548
URL
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/90007716
URL
https://search.jamas.or.jp/link/ui/2021053608
URL
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19J20634/
ID情報
  • DOI : 10.11201/jjdp.31.130
  • ISSN : 0915-9029
  • eISSN : 2187-9346
  • CiNii Articles ID : 120006942773
  • CiNii Books ID : AN10229548
  • CiNii Research ID : 1390574953711096576

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