共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

コミュニティ・アクションの誕生 民衆的アーカイヴによる戦後福祉国家史の再検討

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
21K00934
体系的課題番号
JP21K00934
配分額
(総額)
2,470,000円
(直接経費)
1,900,000円
(間接経費)
570,000円

本研究は、「民衆的個人主義」をキー概念に、インナーシティ問題を背景として登場してくるコミュニティ・アクション(地域社会事業)を対 象として1970年代イギリスの福祉国家の再編過程における社会意識(主観性)の変容を、オーラルヒストリーやエゴ・ドキュメント研究の成果 による史料としての民衆的アーカイヴを駆使しながら、明らかにしようとするものである。
戦後史の研究は、同時代の資料公開が進むなか で本格的な歴史研究が試みられるようになっている。そこでは、社会や文化の変容と絡めて戦後史を叙述する傾向が強く、本研究においては「 民衆的個人主義」をキー概念に検討をおこなう。それは、戦後福祉国家のなかで自己決定権を高めてきた民衆レベルでの個人主義であり、この 意識がコミュニティ・アクションとして発現したと考える。コミュニティ・アクションは戦後福祉国家史の転換点となるとともに、1970年代の 転形期のアモルファスな社会意識を集約したものであり、それをオーラルヒストリーやエゴ・ドキュメントなどの民衆的アーカイヴを活用する ことにより明らかにするものである。本研究では、コミュニティ・アクションによる住宅 問題への取り組みとして、公営住宅をめぐる賃貸人の運動 (tenants’ movement)、またホームレス対策のなかでの「家屋占拠運動」(squattin g)について取り上げることにしたい。
初年度の成果としては、角松生史ほか編 『縮小社会における法的空間 ケアと包摂 』日本評論社 2022年2月19日に第14章「コミュニティ・アクションの誕生―1970年代の危機と福祉国家史の再検討」を執筆した。また大門正克, 長谷川貴彦編『「生きること」の問い方 歴史の現場から 』日本経済評論社 2022年1月31日に、論点1「近世から近代を生きる」、論点2「新自由主義の物語を超えて」を執筆した。
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リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K00934
ID情報
  • 課題番号 : 21K00934
  • 体系的課題番号 : JP21K00934