MISC

2013年

繰り返す慢性硬膜下血腫を契機に低フィブリノゲン血症を診断しえた慢性維持透析患者の1例

日本透析医学会雑誌
  • 伊藤 千春
  • ,
  • 小倉 学
  • ,
  • 森下 義幸
  • ,
  • 武島 えり
  • ,
  • 三木 敦史
  • ,
  • 高橋 秀明
  • ,
  • 秋元 哲
  • ,
  • 草野 英二

46
6
開始ページ
561
終了ページ
569
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.4009/jsdt.46.561
出版者・発行元
一般社団法人 日本透析医学会

維持血液透析症例では,再発性および両側性の慢性硬膜下血腫の発症頻度が多いことが報告されている.われわれは計4回の慢性硬膜下血腫に対する穿頭血腫除去術が施行され,その経過中に低フィブリノゲン(Fbg)血症と診断した症例を報告する.症例は50歳男性で,左大腿骨頸部骨折時に軽度のPT-INR延長を認めたが,経過観察とされていた.幼少期を含め,大出血イベントはなかったが,2012年1月に明らかな外傷の契機のない,両側硬膜下血腫を発症し,穿頭血腫除去術が施行された.術前の検査でAPTTは正常で,PT-INRの軽度の延長を認めた.同月に両側硬膜下血腫の再発があり,再穿頭血腫除去術が施行された.同年2月にも左硬膜下血腫の再発があり,術前の血漿Fbg値はClauss法で測定不能であったが,抗原定量法では106 mg/dLと低値を示した.正常血漿混合試験では因子欠損型を示した.抗Fbg抗体は検出されず,血栓塞栓症の既往がないことから,血腫悪化予防のため,Fbg製剤を投与したところ,<I>in vivo</I> recoveryは抗原定量法で69%であり,Fbg阻害因子の存在は否定的であった.低Fbg血症の原因として,薬剤性など後天的要素は否定的であった.本症例での血腫形成と凝固異常の因果関係については不明な点が多いが,凝固異常スクリーニングとして血漿Fbg値にも注意を払う必要があると考えられた.

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.4009/jsdt.46.561
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130003372792

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