2017年4月 - 2020年3月
ポリフェノールの抗動脈硬化作用に関わる転写因子の網羅的同定とその作用機構の解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 若手研究(B)
本年度も前年度に引き続き、ポリフェノールの抗動脈硬化作用に関連する転写因子ネットワークの解明を目的として、シグナリングに関与する転写因子を網羅的に同定するシステムの確立を試みた。ほとんどの転写因子は活性化により核内移行することから、核内タンパク質の変動量を指標にした解析法を検討した。前年度は、蛍光標識ディファレンスゲル二次元電気泳動法(2D-DIGE)を用いた転写因子の網羅的同定システムの確立に向けて、LPS刺激後の転写因子NF-kappaBの核内レベルの増加が検出できることを確認した。しかし、転写因子は基本的に発現量が少なく、その他の転写因子の増減を2D-DIGEで検出することは非常に困難であるという結論に至り、本システムによるスクリーニングを断念した。そこで、新たにTandem Mass Tag (TMT) 解析を用いることにより、刺激により量的変動のみられる転写因子の網羅的同定を試みた。ヒト単球性白血病細胞THP-1由来のマクロファージに酸化LDLと各種ポリフェノールを単独で処理、もしくは組み合わせて処理し、その核画分をTMT解析に供した結果、これらの処理により有意かつ顕著な発現変動を示す転写因子を多数同定することに成功した。現在は、本解析結果の妥当性を確認するために、これらの同定された転写因子の一部について、実際に転写活性や下流の遺伝子発現の変動が見られるか検証を進めている。
- ID情報
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- 課題番号 : 17K17923
- 体系的課題番号 : JP17K17923