MISC

2014年

銅触媒6π-電子環状反応を鍵反応とした 抗腫瘍性インドールアルカロイドの全合成

天然有機化合物討論会講演要旨集
  • 阿部 匠
  • ,
  • 石倉 稔

56
0
開始ページ
Poster4
終了ページ
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.24496/tennenyuki.56.0_Poster4
出版者・発行元
天然有機化合物討論会実行委員会

<p>1.序論</p><p> 1959年にOchrosia elliptica Labill (Apocynaceae)から単離されたellipticine (1) は抗腫瘍活性を有するピリドカルバゾールアルカロイドであり、現在まで数多くの植物中に見出されている (Figure 1)1)。顕著な抗腫瘍活性を示すことから、誘導体・類縁天然物を含めて多数の合成法が開発され、それらの抗腫瘍活性についての検討が現在も続けられている2)</p><p> Calothrixin A (2)、B (3) は1999年に藍色細菌cyanobacteria Calothrix属からRichardらのグループにより単離構造決定された)。 ピリドカルバゾールにベンゼン環が縮環したインドロフェナンスリジン骨格を有する特異な構造とともに、強い抗腫瘍活性や抗マラリア活性を示すことから、合成法の開発および生物活性評価について大きな関心を集めている4)。これら縮環型カルバゾールアルカロイド1、2、3の合成では、含窒素多環性骨格の構築が鍵となる。</p><p> 多環性骨格を有する天然物の合成における鍵反応としてトリエンの6p-電子環状反応の利用はよく知られている。一般的に、加熱条件での反応、または光照射を用いて環化反応が行われている5)。他のペリ環状反応とは異なりルイス酸を用いる触媒的6p-電子環状反応の報告は極めて限られ、一般的な反応となっていない6) 今回、触媒的6p-電子環状反応の開発とその応用性の検討を行い、ピリドカルバゾールアルカロイドとインドロフェナンスリジンアルカロイドの全合成を達成したので報告する。</p><p>2.合成計画</p><p> 我々の合成計画をScheme 1に示す。系中でインドールより調製したインドリルボレート4とビニルブロミド5とのタンデムクロスカップリング反応によるトリエン6の構築7)、さらにはトリエン6の6p-電子環状反応による多環性化合物7の構築を鍵段階とする1、2、3の合成を計画した。この合成計画の特徴は、1) トリエン6が共通原料であるので原料供給が容易なこと、2) 同じ鍵反応を用い異なる骨格の天然物や誘導体を合成できることが挙げられる。</p><p>3.6p-電子環状反応の検討 </p><p> 我々は先に、インドリルボレート4を用いるellipticine (1)の合成を報告しているが8)、トリエンの環化によるピリドカルバゾール環の構築に難を残している。そこでまず、全合成に先立ち、トリエン6の環化反応について金属錯体をルイス酸とする6p-電子環状反応の開発を検討した (Table 1)。 この結果、これまで全く報告例のない (CuOTf)2•toluene錯体を用いる6p-電子環状反応の開発を行うことができ, さらに触媒的環化反応への適用も可能であることがわかった (entries 1-4)。さらに反応条件の検討を行い、トリエン6を(CuOTf)2•toluene錯体 (0.1 当量) およびPCC (1.2 当量)とともに塩化メチレンーアセトニトリル混合溶媒中、室温で3時間攪拌することにより環化体7を高収率で得ることができた (entry 5)。(CuOTf)2•benzene錯体を用いても同様の収率で環化体を得ることができたが、Cu(OTf)2を用いると収率が低下した(entries 6-8)。</p><p> 光照射やルイス酸を用いる反応において、N-BocとN-OMeを有するトリエン</p><p>(View PDFfor the rest of the abstract.)</p>

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.24496/tennenyuki.56.0_Poster4
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130007399545
ID情報
  • DOI : 10.24496/tennenyuki.56.0_Poster4
  • CiNii Articles ID : 130007399545

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