阿部 俊弘

ある地点における風向などを記録したデータは、円周上に値を取るデータ（円周データ）とみなすことができ、これらを対象とする統計学は 方向統計学(Directional Statistics) といわれています。具体的なデータの例としては、気象学における風向データ、渡り鳥の移動方向を記録したデータ、川の流水方向等のような角度の観測値があり、これらは円周上の点と1対1に対応することから、角度データは円周データとしばしば呼ばれ、そのような円周データは円周上の分布を用いて解析することができます(0ラジアン[0度]と2πラジアン[360度]は円周上の同一の点)。また、角度データを解析するための道具である、円周上の分布は様々な研究者により多様な方法で提案されています。

これら以外にも、周期的な性質を持つデータは角度データとして表現可能であることから、医学におけるリンパ性白血病の起こる月別データや乳幼児突然死の月毎の年間データも角度データとしてみなすことができます。

この方向統計学における分布論や、角度に関するデータ解析等の研究を進めています。他にも、最近は、ロバスト推測、多変量解析やCopulaを用いた研究に興味を持っています。