基本情報

所属
東洋大学 文学部哲学科 助教
慶應義塾大学言語文化研究所 兼任所員
学位
修士(慶應義塾大学大学院)
博士(Radboud University Nijmegen)

連絡先
adam.takahashigmail.com
通称等の別名
アダム・タカハシ(髙橋厚)
研究者番号
70817395
J-GLOBAL ID
201601011205582970

 専門は西欧中世・ルネサンス期の自然哲学史である。ただし、中世盛期から初期近代までの哲学史・科学史全般、またアラビア哲学・科学のヨーロッパにおける受容、自然現象とテクノロジーとの関係といった文化史的な問題にも関心をもっている。現在、主に下記の三点を軸に研究を進めている。

 

 ・単著『哲学者たちの天球:スコラ自然哲学の成立と展開』

 現在準備中の単著『哲学者たちの天球 スコラ自然哲学の成立と展開』では、西欧中世の自然観を、従来の科学史研究のようにコペルニクスやガリレイの先駆者をさがす視点からではなく、古代ギリシアの哲学者アリストテレスの著作の受容という観点から考察している。

 アリストテレスは、現代の物理学、化学、生物学、天文学、動物学などに対応する様々な科学的学知の礎をつくりあげた人物だった。本書で注目したのは、アリストテレスの哲学の伝統のなかで信じられていた、キリスト教神学とは異なる世界像である。後者の神学的伝統では、超越的な神がこの世の原理として存在すると考えられ、そこからこの世界の秩序や現象の規則性が説明されていた。それに対して、アリストテレス主義の有力な伝統では、(超越的な神ではなく)天空の星々こそがこの世界の秩序を作りだす原理であると考えられていたのである。この考えは、アリストテレスの著作の特権的な「註解者」(Commentator)として、十七世紀まで広く参照されつづけた十二世紀スペインの哲学者アヴェロエス(イブン・ルシュド)の著作をとおして西欧内で普及した。

 本書では、このようなアリストテレス主義的な世界像を前提として、それにキリスト教神学者たちが応答するなかで、どのようにスコラ的な自然哲学が成立したのかを分析している。この分析をとおして、十二世紀以降、西欧人がどのような哲学的な自然・宇宙観を抱いていたのか、そしてまた近代科学が勃興するときにそれに先だってどのような知的前提が存在したのかを明らかにしようと意図している。

 

・ ジャンドゥンのヨハネス(Jean de Jandun)の自然哲学研究  

 科研費(若手研究)に採択された研究として、「アヴェロエス主義のプリンス」とも称されるジャンドゥンのヨハネス(Jean de Jandun)の自然哲学の研究を同時にすすめている。彼の著作はいまだに近代的な校訂版が存在しない。そのため、単に思想的な内容を分析するだけではなく、手稿調査をふくめてテクストの校訂版の作成を目標としている。

 この研究とともに、2019年1月から「知のアーカイブの成立:写本研究を通して見える思想世界」と題する連続シンポジウムを定期的に企画・運営している。このシンポジウムは、哲学史や科学史を単なる観念の歴史として考えるのではなく、ある具体的な地域や都市における知識人のネットワークや「手稿」(マニュスクリプト)の介在などを考慮することで、ある特定の思想が具体的な歴史状況のなかでどのように生成し、展開することになったのかを明らかにすることを目的としている。

 

・「魂の不死の哲学」

 古代ギリシア人たちは、動植物の生命の源を「魂」と呼んだ。その魂が、哲学および神学の伝統では「不死」なるものとして近代まで論じられつづけた。その思想の端緒に位置づけられるのは、プラトンの著作『パイドン』である。『パイドン』において神話的なかたちで導入された不死の魂という考えは、そのあと弟子のアリストテレス、新プラトン主義者プロティノス、そしてキリスト教神学者のアウグスティヌスなど、古代・古代末期の思想家たちによって広く継承された。さらに、その考えは中世以降の哲学の展開にもひきつづき影響を与え、たとえばデカルト、ライプニッツ、そしてカントなどが、この論点を彼らの哲学の中心的な課題として論じたことも知られている。この研究では、なぜ西欧の哲学・神学的な伝統のなかで、魂の不死性という考えが、単なる迷信として却られるのではなく、様々な哲学・倫理学的な立場の基礎として言及されつづけたのかを、歴史的に重要な哲学者たちの著作を再考することで解き明かそうと努めている。


Curriculum vitae (English)
https://drive.google.com/open?id=1VDR6SU7rftm9yeijyHb7sXuuQrxgxBDx


論文

  12

書籍等出版物

  6

MISC

  7

講演・口頭発表等

  28

共同研究・競争的資金等の研究課題

  1

その他

  4